米下院共和党議員は2024年7月10日、米国民の包括的なデジタルプライバシー保護を目指す新法案「セキュアデータ法(Secure Data Act)」を発表した。同法案は、消費者が特定企業によるターゲティング広告や第三者へのデータ販売、自動意思決定システムへの利用などを拒否できる権利を保障する。
さらに、企業に対し、個人データの収集・利用に関する透明性の確保、消費者へのデータ提供、13歳未満の青少年のデータ収集に対する親の同意権の付与を義務付ける。下院エネルギー商業委員会委員長のブレット・ガスリー議員(共和党・ケンタッキー州)とジョン・ジョイス議員(共和党・ペンシルベニア州)は共同声明で、「この法案は、米国民が自身のデータを管理し、企業がその安全な保管に責任を負うための明確で実効性のある保護措置を確立する」と述べた。
同法案は、企業に対し、収集する個人データを「適切で関連性があり、合理的に必要な範囲」に限定し、事前に開示された目的以外での利用を禁止する。また、顧客データのセキュリティ強化や、データを第三者(ロシアや中国などの敵対的外国政府を含む)に販売・共有する際の開示義務も規定する。
FTCによるデータブローカーの監督強化
連邦取引委員会(FTC)は、データブローカーに対する監督権限を強化される。データブローカーはFTCへの登録が義務付けられ、データ最小化、開示、セキュリティ要件を遵守しなければならない。また、新たに全国データブローカー登録簿が創設される。
専門家の見解:州法に類似、FTCの権限強化も
国際プライバシー専門家協会(IAPP)のコブン・ツヴィーフェル=キーガン常務取締役は、同法案がバージニア州やガスリー議員の地元ケンタッキー州で近年成立したプライバシー法に類似しており、消費者への通知と拒否権の付与、企業のコンプライアンス基準として「合理的な証拠」を求める点が特徴だと指摘する。同時に、FTCや州司法長官に不正行為の調査・制裁権限をさらに与える可能性があると述べた。
16か月にわたるGOP内協議の成果
同法案は、共和党多数党下院が16か月以上にわたり内部で協議を重ね、合意形成を図ってきた成果だ。ジョイス議員を中心とする作業部会は、昨年実施した情報提供要請(RFI)に対し、170団体からフィードバックを受け、一般市民からも250件以上の意見を集めた。しかし、民主党議員は作業部会や法案策定プロセスに参加しておらず、今後の議会審議での超党派支持獲得が困難になるとの見方が示されている。
「民主党議員に対し、青い州で可決されたような法案への支持をなぜ表明できないのか、説明を求めたいところだ」
— コブン・ツヴィーフェル=キーガン(IAPP常務取締役)
一方で、同法案には「より強力な規制が必要」との指摘もあり、今後の審議で修正される可能性がある。