犯罪経済学の第一人者であるジェニファー・ドレアック氏(アーノルド・ベンチャーズ副社長、著書『The Science of Second Chances』)が、刑務所の実態と犯罪抑止策について新たな視点を提示した。
ドレアック氏は、長期刑が犯罪抑止に与える影響は限定的であり、むしろ「事件解決率の向上」が犯罪抑止に効果的だと指摘。米国の刑事司法システムにおける「クリアランス率(事件解決率)」の低さが、犯罪増加の一因となっていると分析する。
再犯防止と寛大な処遇の効果
同氏は、第一回犯罪者に対する寛大な処遇が再犯率を低下させるという研究結果を紹介。従来の「厳罰主義」に代わる「経済学に基づく司法改革」の必要性を説く。また、政策立案者がインセンティブを適切に設計することで、刑事司法システムの改善が可能だと主張する。
「バン・ザ・ボックス」運動の功罪
ドレアック氏は、雇用機会均等を目指す「バン・ザ・ボックス」運動についても言及。この政策が却って若年層の雇用機会を奪う可能性を指摘し、データに基づく政策立案の重要性を強調した。
刑務所の快適さと再犯率の関係
「刑務所をより快適にすべきか?」という問いに対し、ドレアック氏は「再犯防止には教育・職業訓練プログラムの充実が効果的」と回答。経済学的視点から、刑務所内の環境整備よりも「出所後の支援」が重要だと結論付けた。
主な議論のポイント
- 経済学と刑事司法の関係:犯罪抑止策に経済学的アプローチを導入する意義
- 再犯防止策の功罪:寛大な処遇が再犯率を低下させるメカニズム
- 「バン・ザ・ボックス」の影響:雇用機会均等政策が若年層に与える逆効果
- クリアランス率の向上:事件解決率が犯罪抑止に与える影響
- 刑務所改革の方向性:再犯防止に向けた具体的な施策
ドレアック氏は、刑事司法システムの改革には「データに基づく政策立案」と「経済学的視点の導入」が不可欠だと強調した。
出典:
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