米国の選挙区再編をめぐる攻防が、再び激化の兆しを見せている。最高裁判所が投票権法の重要な条項を骨抜きにする判決を下したことで、共和党主導の州が選挙区再編を加速させ、民主党が議席を失う可能性が高まっている。
最高裁の判決が引き金に
3月18日に行われたワシントンD.C.の議会前集会では、投票権の擁護と「SAVE America Act」への反対を訴える参加者がプラカードを掲げた。この集会は、まさに選挙区再編をめぐる戦いが一段落しつつあった矢先の出来事だった。しかし、最高裁が投票権法の根幹を揺るがす判決を下したことで、状況は一変した。
特に南部諸州では、共和党が選挙区再編を通じて民主党が議席を確保していたマイノリティー選挙区を削減し、議席数を最大化する動きが加速している。ルイジアナ州とテネシー州では、2026年の中間選挙に間に合わせる形で選挙区再編が実施される見通しだ。
共和党の戦略と民主党のジレンマ
共和党は、ルイジアナ州、ジョージア州、テネシー州、サウスカロライナ州、ルイジアナ州、ミシシッピ州の6州で選挙区再編を計画しており、このうちルイジアナ州とテネシー州では2026年の中間選挙に間に合わせる可能性が高い。さらにフロリダ州では先週、共和党に有利な選挙区を4つ新設する選挙区再編が完了した。
公民権団体「Fair Fight Action」の分析によると、この新たな選挙区再編ルールの下で、共和党は今後2回の選挙サイクルで最大19議席を獲得する可能性があるという。民主党はこれに対抗すべく、ニューヨーク、カリフォルニア、コロラド、メリーランド、イリノイなどの州で選挙区再編を実施し、議席数を増やす計画を立てている。同団体の報告書によれば、民主党は10から22議席の獲得が可能だとしている。
民主党の反撃とマイノリティー選挙区の課題
アラバマ州選出のテリー・スーウェル下院議員は、「カリフォルニア州で52議席、イリノイ州で17議席を獲得したい」と述べ、民主党が完全に優位な選挙区図を描く可能性を示唆した。しかし、このような強硬策を実行するには、これまで民主党が議席を確保してきたマイノリティー選挙区の再編が避けられない。黒人、ヒスパニック、アジア系アメリカ人の議員が議席を失うリスクが生じるのだ。
民主党は、公民権運動の成果として確立された選挙区を再編することで、議席数の増加を図る一方で、マイノリティーの政治的代表性を維持するという難しい舵取りを迫られている。