テキサス州オースティンに拠点を置く自動運転車ベンチャー企業アブライド(Avride)は、自社の自動運転車が母アヒルを轢殺し、現場から逃走した事故を受け、調査を実施すると発表した。
事件は同社が自動運転技術のテストを行うオースティン市内のミューラー湖公園近くで発生。母アヒルが近くの巣から離れた隙に自動運転車が突っ込み、轢殺した後、停止することなく走り去ったという。この様子を目撃した住民がフェイスブックの近隣グループに投稿し、注目を集めた。
投稿者のルイス・ピアース氏によると、運転手はハンドルに手を置いておらず、事故直前に停止標識を無視して突っ込んだという。ピアース氏は「車は減速も躊躇もせず、母アヒルを轢き殺した。運転手は何が起きたか確認することもなく、そのまま走り去った」と証言した。
アブライド社は声明を発表し、関連データを分析中であることを明らかにした。同社は「車両は全ての停止標識で完全かつ適切に停止していた」と主張したが、目撃者の証言とは矛盾する内容となった。同社は今後、公園周辺の道路を自動運転車が通行しないよう一時的に調整すると述べた。
この事故は、自動運転車に対する住民の不安をさらに高める結果となった。オースティンはウェイモ(Waymo)やテスラなどの自動運転車やロボットタクシーが多数運行される地域であり、その安全性に対する懐疑的な声は根強い。
被害にあった母アヒルは、公園内の鉢植えにあった巣で卵を温めていたとみられ、ピアース氏によると「良き隣人」として知られていたという。卵は近隣住民によって回収され、インキュベーターで保護されている。
自動運転車による動物への被害は今回に限った話ではない。昨年にはウェイモのロボットタクシーがサンフランシスコで人気のネコを轢殺し、全国的なニュースとなった。また別の事例では、自動運転タクシーが犬を轢き、車内の子どもたちが泣きながら救助を求める様子が動画で拡散された。
アブライド社の対応に対し、住民からは「人間は免許を取得して運転するのに、なぜ自動運転車は停止標識を無視するのか」といった批判の声が上がっている。ピアース氏は「この事故は非常に衝撃的で、自動運転車の安全性に疑問を抱かざるを得ない」と語った。