議会が再延長を迫られる「セクション702」とは
外国情報監視法(FISA)に基づく「セクション702」は、外国の標的の電子通信を令状なしで監視する権限を米政府に与える。特に問題視されているのが、米国民の個人情報を用いてデータベースを検索(クエリ)できる点だ。米国人が海外の人物と接触している場合に限定されるが、プライバシー侵害の懸念が根強い。
2024年改正法「RISAA」の功罪
2024年に成立した「Reforming Intelligence and Securing America Act(RISAA)」は、セクション702を巡る批判に対応するための56の改正を盛り込んだ。過去の不正検索(数十万件に及ぶ)を受け、監視の透明性向上が図られた一方で、一部の改正は同法の権限拡大につながる可能性も指摘されている。
議会は今月27日に期限を迎える同法の延長を巡り、10日間の暫定延長を可決。トランプ政権は180日間の「完全な」再延長を求めている。しかし、改正の効果や拡大の実態については、専門家の間でも見解が分かれている。
専門家の見解:改正の効果は不明確
「改正がどれほど効果を上げたのか、私たちにはわからない」
エリザベス・ゴイティン(ブレナン・センター・フォー・ジャスティス)
ゴイティン氏は、米国民の個人情報を用いた検索に令状が必要との立場を長年主張してきたが、米国の情報機関は「国家安全保障上の緊急調査が大幅に遅れる」と反対してきた。
一方、グレン・ジェルステル(元NSA法務顧問)はRISAAについて「2008年の制定以来、最も重要な改正」と評価する。同氏は「改正は劇的な効果を上げた」と主張するが、その具体的な内容については議論が続いている。
FBIの不正検索問題と「ブラックボックス」の実態
昨年の司法省監察官室の報告書によると、FBIのシステムに「参加者フィルター機能」と呼ばれる機能があり、特定のケースファイル番号や施設(電話番号・メールアドレス)を選択して通信を検索できることが判明した。この機能により、標的施設との通信に関与した米国民の通信も検索対象となり得るが、その実態は「ブラックボックス」化されている。
司法省は2024年8月頃にこの機能の存在を把握したが、その運用実態については依然として不透明な部分が多い。専門家らは「検索件数の正確な把握が困難」と指摘しており、プライバシー保護の観点からさらなる規制強化を求める声が強まっている。
今後の展望:議会はどう対応するのか
議会は今後、セクション702の延長を巡り、さらなる改正の必要性について議論を続ける見通しだ。ゴイティン氏らは「米国民の個人情報を用いた検索には令状が必要」と主張する一方、情報機関は「国家安全保障上の必要性」を理由に反対している。
現時点での暫定延長は10日間に過ぎず、議会は早急な対応を迫られる。しかし、改正の効果や拡大の実態が依然として「ブラックボックス」のままである現状では、根本的な解決策を見出すのは容易ではない。