トヨタクラウンの高い車高に対し、筆者は常々興味を抱いてきた。他に類を見ないその外観は賛否を招くが、日常使いの域を超えた存在感を放つ可能性を秘めている。個人的には、リフトアップされたセダンというコンセプトに魅力を感じるが、実際の乗り心地はどうなのだろうか。
2026年モデルのクラウンは、今だからこそ存在する車だ。時代を選ぶこのモデルは、決して悪い車ではないが、クロスオーバー志向のユーザーの要望を満たすためにサスペンションを高めた、いわば「 compromise(妥協)」の産物と言える。実際に1週間試乗してみたが、クラウンはカムリの代替として十分なクルマだ。燃費性能は優秀で、AWDが標準装備。ラグジュアリーさも備え、2~4人分のスペースも確保されている。唯一の問題は、その独特な外観をどう感じるかだけだ。
基本スペック:50年ぶりの復活を遂げたクラウン
トヨタは2022年にクラウンの名を復活させた。50年ぶりの再デビューとなった当時、その姿に戸惑いを隠せなかったが、今もなおその評価は定まっていない。セダンとクロスオーバーの要素を併せ持ち、前者の親しみやすさと後者の高さを兼ね備えているのだ。
筆者は、クラウンには泥除けと荷台が必須だと考えている。そうでなければ、まるで砂利道を走るための装備が不足した amorphous blob(不定形の塊)のように見えてしまう。特に後方から見ると、その奇妙さが際立つ。車体下部の空間が広い一方で、リアのデザインは鋭さも丸みもなく、まるで raccoon(アライグマ)のようなマスクを纏っているかのようだ。
インテリア:直感的な操作性がもたらすラグジュアリー
一方で、クラウンのインテリアは非常に優れている。友人のクリス・ツイ氏はかつて「世界で最も贅沢なクルマ」と評したが、確かにその直感的な操作性は贅沢の一形態と言える。必要なボタンやダイヤルは適切に配置され、バックライト付きの機能も充実している。
クラウンには2種類のパワーユニットが用意されている。テスト車両に搭載されていた2.5リッター直列4気筒ハイブリッドと、2.4リッターターボハイブリッドだ。いずれもバッテリーアシスト付きで、電子制御無段変速機(e-CVT)を採用。ベースエンジン搭載車でも236馬力を発揮し、米国環境保護庁(EPA)の燃費は41mpg(約17.4km/L)と優秀な数値をマークしている。
運転性能:目立たないがゆえの完成度
2026年クラウンの運転性能について、筆者が語れることはほとんどない。これは悪いレビューなのかもしれないが、同時に「クラウンはその役割を果たすだけのクルマ」という証左でもある。筆者が試乗した際、周囲の人々から「あれは何?」と尋ねられたが、それ以外に特筆すべき点はなかった。家と教会を行き来する日常使いには、何の不満もなかったのだ。
「クラウンは、カムリの代替として十分なクルマだが、そのデザインには賛否が分かれるだろう。必要とされる理由は、ユーザーの嗜好次第だ。」
まとめ:独自の存在意義を模索するクラウン
2026年モデルのクラウンは、決して万人に受け入れられるデザインではない。しかし、その実用性とラグジュアリーさは高く評価できる。トヨタが目指した「新たなセダンの形」は、確かに存在する。あとは、それを受け入れるかどうかだ。