米連邦捜査局(FBI)が、大西洋月刊誌(The Atlantic)の記者サラ・フィッツパトリック氏を捜査対象としているとの報道が波紋を呼んでいる。同氏は先月、FBI長官カシュ・パテル氏の私生活や職務態度に関する記事を発表していた。

報道によると、FBIは3月18日に開催された上院情報委員会の公聴会で、世界的脅威に関する証言を行ったパテル長官(写真)。同氏の監督下でFBIが報道機関に圧力をかけているとの疑惑が浮上している。

捜査の背景と報道内容

フィッツパトリック氏が先月発表した記事は、20人以上の関係者への取材に基づき、パテル長官を「偏執的で、頻繁に飲酒し、職務に不適格」と描写していた。同記事は機密情報を含まず、主にパテル長官の個人的な行動に焦点を当てていた。

しかし、FBIが記者本人を捜査対象としている点や、情報源ではなく記者を標的にしている点が異例であり、報道の自由への重大な脅威と指摘されている。FBIは現在のところ、このような捜査は存在しないと否定している。

報道の自由への圧力が続く

この捜査は、トランプ政権下で続く報道機関への圧力の一環とみられている。昨年には、ニューヨーク・タイムズの記者がパテル長官とその交際相手によるFBI資源の不正利用を報じたとして捜査対象となったが、後に捜査は取り下げられた。

また今年初めには、ワシントン・ポストのハンナ・ナタンソン記者のデバイスがFBIによって押収され、情報源のリーク捜査が行われた。ナタンソン記者は今週、ピューリッツァー賞を受賞している。

政治的な意図を疑う声も

同日、バージニア州上院議員ルイーズ・ルーカス氏の事務所がFBIによって家宅捜索されたことも明らかになった。ルーカス議員は民主党の選挙区割り改定を主導し、トランプ政権の選挙戦略を阻害してきた人物だ。捜査は汚職容疑が中心とされるが、トランプ政権が政敵を標的に捜査を利用してきた前例から、そのタイミングが不自然だとの指摘もある。

報道の自由をめぐるこれらの動きは、11月の米中間選挙を控え、政治的な緊張が高まる中で起きている。批評家らは、政府による報道機関への圧力が民主主義の根幹を揺るがすと懸念を示している。

出典: Vox