FDAの25年で最悪の長官と評されるマカリー氏
米国の食品医薬品局(FDA)を25年にわたり取材してきた筆者にとって、マーティ・マカリー氏が同局の歴史上最も不適任な長官であったことは、決して軽々しい言葉ではない。マカリー氏は2023年4月11日、FDAからの圧力を受け辞任を発表したが、その在任5年間は、同局の役割や機能、そして職員への理解に根本的な欠如があった。
科学的根拠の軽視と職員の大量離脱
マカリー氏は、FDAの上級幹部の多くが退職または解雇される事態を招き、同局の基準を弱体化させた。また、科学的知見と規制の政治的側面の双方を理解していた職員の声を無視し続けた。在任後半には孤立感が強まり、実質的な成果に乏しい「勝利」の獲得に執着する姿が見られた。
専門家からの批判が相次ぐ
FDAの元幹部や科学者らは、マカリー氏のリーダーシップが同局の信頼性と効率性を損なったと指摘。特に、新型コロナウイルスワクチンの緊急使用承認(EUA)や医薬品審査プロセスの見直しにおいて、科学的根拠よりも政治的判断が優先されたとの批判が多い。
AI活用や審査迅速化への取り組みも評価されるが
一方で、マカリー氏の功績として挙げられるのが、医薬品開発における人工知能(AI)の活用促進や、審査プロセスの迅速化、臨床試験の加速化などだ。これらの取り組みは、同局の近代化に一定の貢献を果たしたと評価されている。
後任の課題は多岐にわたる
マカリー氏の辞任により、FDAは新たな長官のもとで、信頼回復と機能強化に取り組む必要に迫られている。特に、科学的独立性の確保と職員のモチベーション向上が喫緊の課題だ。同局の将来を左右する重要な局面を迎えている。
「マカリー氏の在任中、FDAは科学的根拠よりも政治的判断が優先される場面が多かった。これは同局の使命そのものを揺るがす事態だった」
—— FDA元幹部
まとめ:FDAの未来に向けた課題
マカリー氏の辞任は、FDAが直面する課題の表面的な解決に過ぎない。同局は今後、科学的独立性の回復、職員の士気向上、そして社会からの信頼回復に向けた具体的な施策を講じる必要がある。次期長官には、これらの課題に真摯に向き合うリーダーシップが求められる。