「Mr. Wonderful」が手掛ける巨大データセンター計画

テレビ番組「シャークタンク」で知られる投資家ケビン・オリアリー氏(通称「Mr. Wonderful」)が、新たな分野に挑戦しようとしている。AI(人工知能)インフラの分野だ。オリアリー氏は、ユタ州北部に「ストラトス」と名付けられた巨大データセンターを建設する計画を発表した。その規模は、ニューヨーク・マンハッタンの2.5倍に相当するという。

AI投資の波、セレブリティも参入

AI分野への投資は、セレブリティの間でも広がりを見せている。例えば、アシュトン・カッチャー氏のベンチャーキャピタル「サウンド・ベンチャーズ」は、OpenAIに3000万ドルを投資し、その価値は現在10億ドルを超える。ベン・アフレック氏のAIポストプロダクション会社「インターポジティブ」は、Netflixに約6億ドルで買収された。また、ライアン・レイノルズ氏は、OpenAIとMint MobileのCMに出演し、AI企業の広告塔としても活躍している。

しかし、オリアリー氏の取り組みは、単なる投資や広告とは一線を画す。彼は、AIインフラの基盤となるデータセンター事業に本格的に参入し、その象徴的存在となることを目指しているのだ。

環境への影響が懸念される巨大プロジェクト

ストラトスは、100%ガス発電で稼働する計画で、ユタ州の温室効果ガス排出量を最大50%増加させる可能性があると、ユタ大学の教授が試算している。このプロジェクトは、ユタ州の軍事施設開発局から大きな税制優遇措置を受けている。

オリアリー氏は、自身のX(旧Twitter)で「私は地球上で唯一、環境学の学位を持つデータセンター開発者だ」と発言し、持続可能性への取り組みを強調した。しかし、その主張は地元住民や環境団体からの反発を招いている。

地元住民の反対運動

5月6日、ユタ州ボックスエルダー郡で行われた委員会会議では、データセンター建設に反対する住民約300人が抗議活動を行った。しかし、住民は発言を許されず、部屋の後方で抗議の看板を掲げることを強いられた。委員会は最終的に、10億ドル規模のデータセンター建設を許可する決定を下した。

さらに、3700人以上の住民が、ユタ州水資源局に対し、データセンターの許可取り消しを求める抗議文を提出した。オリアリー氏はこれに対し、「多くの抗議者はユタ州外から集められたプロの抗議者だ」と主張した。

持続可能性への取り組みを強調

オリアリー氏は、データセンター建設に伴う環境への影響についても言及している。彼は、空気、水、熱、騒音公害などの懸念事項に対処するため、持続可能性を最優先に取り組んでいると述べた。しかし、地元住民や環境団体からは、その取り組みに対する疑問の声が上がっている。

「私は地球上で唯一、環境学の学位を持つデータセンター開発者だ。これらの提案に関しては、持続可能性が最も重要な要素だ」
— ケビン・オリアリー(Mr. Wonderful)

今後の展望と課題

オリアリー氏のデータセンター計画は、AIインフラの発展に貢献する可能性がある一方で、環境への影響や地元住民との摩擦など、多くの課題を抱えている。今後、プロジェクトがどのように進展していくのか、注目が集まっている。