米国フロリダ州タンパ発 — NFL選手会(NFLPA)は、選手の安全とプレー環境の向上を目的に、球場の芝生に関する要求を強化する方針だ。2028年以降に導入が検討される18試合制拡大に向けた労使交渉において、選手会は「草芝生の球場を義務化すべき」と主張する構えだ。
現在、NFLの32チームのうち15球場が人工芝、15球場が天然芝、2球場がハイブリッドシステムを採用している。選手会は長年にわたり、選手の7割以上が天然芝を好むとの調査結果を根拠に、人工芝の増加に反対してきた。しかし、維持コストの低さや天候に左右されない安定性から、リーグ側は人工芝導入を進めてきた経緯がある。
NFLPAのJC Tretter会長は、FIFAワールドカップ開催に向けたスタジアム改修を巡り、リーグ側の対応を批判した。今夏開催のワールドカップでは、11のNFLスタジアムが会場として使用されるが、そのうち8会場で一時的な天然芝が敷設される予定だ。Tretter会長は「FIFAの試合に向けて、オーナーたちはサッカー選手のために緑の絨毯を敷く。だがNFL選手にはそうしないのか」と疑問を呈した。
選手会は、人工芝が負傷リスクの増加やプレー感覚の悪化につながると主張。元NFL選手で現役時代に人工芝でのプレー経験もあるLuke McCown氏は、自身のX(旧Twitter)で「選手たちは20年以上にわたり、天然芝を好むとの調査結果をリーグに伝えてきた。それでも人工芝は減るどころか増え続けている」と指摘した。
2026年シーズンに向けた選手の報告書では、芝生の質が選手のパフォーマンスや怪我のリスクに与える影響が詳細に分析される見込み。選手会はこの報告書を交渉材料に活用し、芝生の質向上や施設基準の引き上げを要求する可能性が高い。具体的には、全スタジアムへの天然芝導入の義務化や、選手の快適性向上に関する基準策定が検討されている。
一方で、リーグ側は18試合制拡大による収益増加を目指しており、選手への補償や報酬体系の見直しが焦点となる。しかし、選手会は単なる金銭的な補償ではなく、プレー環境の改善を最優先課題として掲げている。交渉が難航する可能性もあり、今後の動向が注目される。