国際的な専門家グループは、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の名称を「多内分泌代謝性卵巣症候群(PMOS)」に変更することを正式に発表した。この変更により、同疾患が全身に及ぼす影響をより正確に反映することが可能となる。
名称変更の発表は、欧州内分泌学会(European Congress of Endocrinology)のプラハ開催時に行われ、5月12日には医学誌『The Lancet』に掲載された。PCOSは世界で8人に1人の女性に影響を及ぼすホルモン疾患だが、長年にわたり誤解を招く名称として知られていた。
名称変更の背景と意義
従来の「多嚢胞性卵巣症候群」という名称は、卵巣に嚢胞が見られることを前提としており、実際には卵巣が正常な患者も存在することから、混乱を招いていた。また、同疾患が全身の代謝や内分泌系に及ぼす影響を的確に表現していなかった。
新名称のPMOSは、「多内分泌代謝性」という言葉を加えることで、同疾患が単なる婦人科疾患ではなく、全身性の内分泌・代謝疾患であることを明確に示す。これにより、診断や治療の精度向上が期待される。
「PCOSという名称は長年、患者にとって混乱を招くだけでなく、正確な診断を妨げてきました。PMOSへの改称により、この疾患の全身への影響が正しく理解され、より包括的な医療が提供されるようになるでしょう」
— Sherry Ross医師(産婦人科専門医、プロビデンス・セントジョン・ヘルスセンター)
14年にわたる名称変更の取り組み
名称変更の動きは、2010年から始まった。56の学術団体、臨床機関、患者団体が参加し、新名称の提案が行われた。最終的に「卵巣」「代謝」「内分泌」の要素を反映した「PMOS」が採用された。これにより、同疾患が単なる婦人科疾患ではなく、全身性の疾患であることが明確になった。
名称変更がもたらす変化
- 診断の遅れの解消:従来の名称では、卵巣に嚢胞がない患者が見落とされるケースがあった。
- ケアの断片化の防止:全身への影響を考慮した包括的な治療が可能に。
- スティグマの軽減:名称変更により、疾患に対する誤解や偏見が減少。
- 早期介入の機会拡大:代謝・心血管リスクへの対応が迅速化。
専門家らは、PMOSという新名称が、患者の症状理解と医療提供の両面で大きな前進となることを期待している。