アスピリンの大腸がん予防効果に関する新たな知見

低用量アスピリンを毎日服用しても、大腸がんのリスクを大幅に低下させる効果は期待できないとする研究結果が発表された。むしろ、長期的な服用は脳内出血のリスクを高める可能性があることが明らかになった。

研究の概要と主な知見

4月1日に発表された最新の研究によると、低用量アスピリン(75~100mg/日)を15年間にわたり毎日服用しても、大腸がんのリスクを有意に低下させる効果は認められなかった。研究者らは、アスピリンの服用が大腸がんのリスクに与える影響について、短期的(5~15年)にはほとんど効果がなく、長期的(15年以上)には若干の予防効果が見られる可能性があるものの、その信頼性には不確実性が伴うとしている。

さらに、研究ではアスピリンの服用が、頭蓋内出血や脳内出血のリスクを高める可能性があることも指摘されている。研究者らは、「現在の証拠に基づいて、アスピリンの日常的な大腸がん予防への使用に関する具体的な結論を出すことはできない」と述べており、その効果とリスクのバランスについて慎重な判断が必要であると強調している。

専門家の見解

米カリフォルニア州ロングビーチ医療センターのメモリアルケア・トッドがん研究所に所属する大腸外科医であるKetan Thanki医師は、この研究結果について次のようにコメントしている。

「この研究は、アスピリンが一般の人々の大腸がん発症リスクを低下させるという明確な予防効果はほとんどないことを示しています。また、長期的なアスピリン服用には出血などの合併症のリスクが伴うことも知られています。そのため、大腸がんのリスクを低下させる目的でアスピリンを毎日服用することはお勧めできません」

研究の手法と対象者

研究者らは、10件の無作為化比較臨床試験のデータを分析し、アスピリンや他の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が、大腸がんや大腸腺腫の予防に与える影響を評価した。対象となった参加者は12万人以上で、主に北米と欧州で実施された研究が中心であった。多くの研究では低用量アスピリン(75~100mg/日)が使用されていたが、一部の研究ではより高用量が検討された。

その結果、5年から15年の服用期間において、アスピリンが大腸がんのリスクを「ほとんど低下させない」ことが明らかになった。また、研究者らは、アスピリンの服用が短期的には大腸がんによる死亡リスクをわずかに高める可能性がある一方で、15年以上の長期服用では死亡リスクを低下させる可能性があるとの見解を示したが、これらの結論については「確信が持てない」としている。

大腸がん予防に効果的な生活習慣

研究者らは、アスピリンの服用に代わる大腸がん予防策として、以下の生活習慣の重要性を指摘している。

  • 植物性食品中心の食事:野菜、果物、全粒穀物を豊富に摂取することで、大腸がんリスクを低下させることができる。
  • アルコール摂取の制限:過度のアルコール摂取は大腸がんのリスクを高めるため、適度な摂取に留めることが重要である。
  • 定期的な運動:週に150分以上の中強度運動を行うことで、大腸がんリスクを低下させる効果が期待できる。
  • 禁煙:喫煙は大腸がんを含む多くのがんのリスク因子であるため、禁煙が推奨される。

また、大腸がんの早期発見には、定期的ながん検診が不可欠である。特に40歳以上の方や、家族に大腸がんの既往歴がある方は、医師と相談の上、検診を受けることが重要である。

まとめ:アスピリン服用の是非は慎重な判断が必要

今回の研究結果は、アスピリンの大腸がん予防効果が限定的であることを示す一方で、その長期的な服用が出血リスクを高める可能性があることを明らかにした。専門家は、アスピリンを大腸がん予防の目的で服用することについて、慎重な判断を求めている。一方で、バランスの取れた食事や適度な運動、禁煙などの生活習慣の改善が、大腸がん予防においてより効果的であることが改めて示された。

出典: Healthline