イギリス・サリーを拠点とする自動車メーカー「ゴードン・マレー・オートモーティブ(GMA)」は、2017年に伝説的なデザイナー、ゴードン・マレーによって設立された。F1優勝マシンやマクラーレンF1の開発に携わった彼は、2020年に「史上最もドライバー中心のスーパーカー」と称されるT.50を発表。限定生産100台という希少性と、マレーの名声、マクラーレンF1との関連性が相まって、発売から数日で完売した。発売価格は約300万ドル(当時)だった。

T.50の市場は未だ形成途上で、北米における公式オークションは今回が初めて。カリフォルニア州パソロブレスで開催された「カリフォルニアミレ・ラリー」の特別オークションにて、T.50(シャーシNo.009)が8億35万ドル(約11億5000万円)で落札された。これはT.50史上最高額であり、これまでの記録を大幅に更新する結果となった。

「T.50の落札価格は、現在のコレクター市場におけるスーパーカーの強さを象徴するものです」と語るのは、オークションを手掛けたブロードアローのシニアカースペシャリスト兼副社長、アレクサンダー・ウィーバー氏。

「伝説的デザイナー、ゴードン・マレーによるこのほぼ手に入らないアイコンは、まさに所有すべき一台です。世界屈指のコレクターやドライブ愛好家が集う中、カリフォルニアミレの美しいツアーと共に披露できたことを光栄に思います」

T.50の魅力は、電動化やコンピュータ制御、過給機といった最新技術の流れに逆行するアナログなアプローチにある。その心臓部には、コスワース社がチューニングを手掛けた自然吸気3.9L V12エンジンを搭載。最高出力661馬力、回転数は12,100rpmまで到達し、90年代のF1マシンのようなサウンドを奏でる。トランスミッションは6速MTで、シフトはHパターンのギアレバーとクラッチペダルにより行われる。車重はわずか2,200ポンド(約1,000kg)と、ロータス・エリーゼ並みの軽量さを実現。空力面では、リアに巨大なファンを搭載し、アクティブダクトと連動させることでダウンフォースを生み出す「ファン・カー」コンセプトを採用。このアイデアは、マレーが1978年に設計したブラバムBT46B「ファン・カー」にまで遡る。

シート配置もマクラーレンF1を彷彿とさせる3座レイアウト。ドライバーは前方中央に座り、左右に2つのシートがわずかに後方に配置される。今回落札されたシャーシNo.009は、ボディカラーを「リーフ(赤)」、ドライバーズシートを「デューン(白)レザーにブルーストライプ」、パッセンジャーズシートを「ブルーアルカンターラ/スロクストンブルーレザー」で仕上げられていた。

出典: Hagerty