アリゾナ州フェニックスで行われたSNAP(Supplemental Nutrition Assistance Program、食料支援プログラム)の支援集会に参加する人々。写真は2023年11月撮影。提供:Alexandra Buxbaum/Sipa USA/Reuters

アリゾナ州では7月から40万人以上がSNAP受給資格を失い、全米で最も大きな削減率を記録した。これは州の経済保障局が運営する同プログラムの参加者の47%に相当し、うち約18万人が子どもである。同局によると、削減の主な要因は、トランプ前大統領の「One Big Beautiful Bill Act(通称)」に基づく政策変更の迅速な実施にあるという。

全米で最も深刻な削減率

非党派のシンクタンク「Center on Budget and Policy Priorities」が2月に発表したデータによると、アリゾナ州の削減率は他州を圧倒的に上回っている。次点のフロリダ州では、7月からの受給者減少率が16%未満にとどまった。

アリゾナ州当局は、新たな就労要件の導入など、法案で義務付けられた政策変更を迅速に実施した結果だと説明する。しかし、関係者への取材によると、州の運営体制の混乱とSNAPを運営する機関への予算削減が相まって、申請プロセスが複雑化し、資格のある人々が受給を拒否されるケースが増加しているという。その結果、州の削減率は予測を上回る事態となっている。

「アリゾナ州は単なる警鐘にすぎない。この問題は間違いなく全米の他州でも起こりうる」
— アリゾナ経済進歩センター(非党派の支援団体)代表、ジョセフ・パロミノ氏

法案がもたらす影響

「One Big Beautiful Bill Act」は、プログラムの費用負担を州に大きくシフトさせる内容で、就労要件の拡大やホームレス、里親制度からの卒業者などの免除要件の廃止を盛り込んでいる。さらに、州に対して支払いエラー率(支給資格や金額の正確性を測る指標)の削減を義務付け、達成できない場合は最大1億9540万ドル(約2年で)の罰金を科すと規定している。

一部の変更は秋まで完全実施されないものの、専門家はアリゾナ州の状況から、すでに法案の影響で人々が飢餓に直面していると指摘する。

支援を求める母親の声

25歳の母親、カリスマ・ガルシアさん(2人の子ども、3歳と6歳)は、数か月間にわたりSNAPの申請インタビューを受ける機会を得ようと試みてきた。州の機関に何度も電話をかけたが、録音メッセージしか流れず、最近では日の出前にフェニックス南部の経済保障局のオフィスに並んだ。しかし警備員から「対面インタビューは実施していない」と告げられ、代わりにフードバンクに向かった。ガルシアさんは「子どもたちに食べさせるために、何でもしなければならない」と語った。

経済保障局の広報担当、ブレット・ベジオ氏は「プログラムが脆弱なアリゾナ州民にとって安定した支援となるよう、エラー率の削減に注力している」と述べた。アリゾナ州のエラー率は8.8%で、全国平均を下回るものの、新たな連邦規制では6%まで引き下げることが求められている。達成できなければ、2年以内に1億9540万ドルの罰金が科される可能性がある。

出典: ProPublica