サステナブルファッションの先駆者として知られたアールバーズが、突如としてAI事業への転換を発表した。同社の環境保護ミッション放棄は、業界関係者に衝撃を与えている。

ロシア出身のリザ・モイセーヴァは、アールバーズがAI事業へ転換するというニュースを聞いたとき、それが風刺記事だと信じられなかったと語った。モイセーヴァはサステナビリティ分野で15年以上の経験を持ち、アールバーズの顧客でもある。彼女の家族は10年以上にわたりアールバーズのスニーカーを愛用してきた。かつてシリコンバレーで流行したこのブランドは、サステナブルファッションのリーダー的存在だった。

しかし今、アールバーズは靴事業から撤退し、AIコンピューティングインフラ事業への転換を表明。社名も「ニュー バード AI」に変更する。アールバーズのブランドと靴事業はアメリカン・エクスチェンジ・グループに売却される予定だ。同時に、同社は環境保護を掲げるミッションも放棄する方針を示した。米証券取引委員会(SEC)への提出書類によれば、株主総会で「環境公益目的の運営」という記載を削除する憲章改正を提案しているという。

顧客の反応と業界の動向

モイセーヴァのような顧客にとって、この転換は大きな驚きだ。「アールバーズはサステナブルブランドの象徴だった」と語る彼女は、同社の環境ミッションに惹かれて顧客になったという。しかし今回の決定には同意できないとしながらも、トランプ政権下で気候政策が後退し、企業のサステナビリティへの取り組みがタブー視される風潮を指摘する。

「現在の社会政治的環境下では、『サステナビリティ』という言葉が悪い意味を持つようになっています。しかし最終的に私たちが住む惑星が必要なのです。短期的な判断を重ねれば、世界はさらに早く燃え尽きてしまうでしょう」
— リザ・モイセーヴァ(Commons CMO)

アールバーズはサステナビリティ重視の企業として知られていたが、その転換は業界全体の動向とも無関係ではない。2025年には、サステナビリティに特化した下着ブランド「パレード」が閉鎖され、靴ブランド「ニソロ」が破産、旅行用品ブランド「パラベル」も破産申請に至った。いずれもBコーポレーション認証を受けていた企業だった。これらの動きは、消費者にとってサステナブルな選択肢が減少していることを示している。

アールバーズの今後

Commonsアプリではかつてアールバーズがトップクラスのサステナブルブランドとして評価されていたが、現在は「ブランドが大きな変革期にあり、評価を一時停止している」と表示されている。同社の転換が成功するのか、それともサステナビリティの放棄が業績に影響を与えるのか、今後の動向が注目される。