ペイサーズの大胆な賭けが裏目に
シカゴ発:NBAドラフトロッタリーが行われた2026年5月10日、インディアナ・ペイサーズの経営陣にとっては悪夢のような瞬間が訪れた。同チームの社長兼バスケットボールオペレーション部長、ケビン・プリチャードは、前日の夜ほとんど眠れなかったと語った。
その理由は、今年2月に行われた大型トレードにあった。ペイサーズはクリッパーズからイビチャ・ズバッツを獲得する代わりに、2026年のドラフト1巡目指名権をクリッパーズに譲渡していた。この指名権は保護条項付きで、1位から4位と10位から30位までが保護されており、クリッパーズが指名権を獲得できるのは5位から9位の場合に限られていた。しかし、ロッタリーの結果はクリッパーズにとって有利な5位から9位の範囲に入ってしまったのだ。
確率はほぼ五分五分、それでも最悪の結末に
ロッタリーの確率は、ペイサーズにとって52.1%のチャンスがあった。つまり、クリッパーズにとっては47.9%の確率で指名権が渡るという、ほぼコイントスのような状況だった。しかし、結果はクリッパーズの勝利となった。
プリチャードは「昨夜はほとんど眠れませんでした。チップ(バックナン、GM)と2人で外に出て、あらゆる可能性について話し合いました。良い結果にも悪い結果にも備えて」と語った。ロッタリーの模様を目の当たりにした彼は、NBAファイナル第7戦のような心臓の鼓動を感じたと明かした。会場にいた観客は、彼の動揺ぶりを30フィート離れたところからでも感じ取れたという。
ズバッツ獲得の代償は高すぎたのか
今回のトレードでペイサーズが手に入れたズバッツは、2024-25シーズンにオールNBAチームの一歩手前まで迫る活躍を見せていた。しかし、その代償として、将来のドラフト指名権と、チームの計画から外れつつあった2人の選手を手放していた。もしもロッタリーでクリッパーズに指名権が渡らなければ、このトレードは完璧な補強といえただろう。だが、現実はそうならなかった。
ロッタリーの結果が発表される中、会場にいたペイサーズ関係者3人は、クリッパーズのロゴが表示された瞬間、誰もが感情を抑えきれなかった。数百人の観客が見守る中、彼らの落胆ぶりは一目瞭然だった。
今後の展望と教訓
このトレードがペイサーズにとってプラスに働くかどうかは、今後5年間の選手交換や戦力構築にかかっている。しかし、2026年のドラフト指名権は、ズバッツ以外で唯一大きな資産価値を持つものだった。その指名権を失ったことで、チームの将来設計に大きな影響が出ることは避けられないだろう。
プリチャードは「この結果を受け入れ、次に進むしかありません。私たちができるのは、最善を尽くすことだけです」と語った。