カリフォルニア州知事選挙が激化の一途をたどる中、トランプ前大統領の「お墨付き」が選挙戦の流れを一変させた。米誌『ザ・ニューリパブリック』の番組「Right Now With Perry Bacon」で行われた5月6日の対談で、同誌編集長のデイビッド・デイエン氏は、民主党優位の同州で共和党候補が上位に食い込む可能性について、独特の選挙制度がもたらすリスクを指摘した。

「上位2位方式」がもたらす逆転劇

カリフォルニア州では、全ての候補者(民主党、共和党、無党派を含む)が同一の選挙用紙に掲載される「上位2位方式」の予備選挙が実施される。有権者は党籍を問わず、誰に投票してもよい仕組みだ。得票数上位2名が本選挙に進出するが、民主党が65%の支持を集める州であっても、共和党候補が均等に票を獲得すれば、民主党候補が多数を占める中で共和党2名が本選挙に進出するという「逆転」が起こり得る。

デイエン氏は「当初は2人の共和党候補が上位に立つ懸念があった。民主党には8人の有力候補がいたが、共和党2名がそれぞれ17~18%の票を獲得すれば、民主党候補がそれを上回る票を獲得するのは困難だった」と説明。同方式が2010年の住民投票で導入された際、書き込み投票も認められていないため、本選挙は選挙用紙に掲載された2名のみで争われることになる。

トランプの「お墨付き」が状況を一変

この「逆転リスク」を解消したのが、トランプ前大統領による共和党候補の1人、ロン・デサンティス州知事への公然の支持表明だった。デイエン氏は「トランプが共和党候補の1人を支持したことで、民主党にとっての最大の脅威が排除された」と語る。同州の選挙戦は、当初の「共和党2名が上位2位に食い込む」シナリオから、民主党候補が本選挙に進出する可能性が高まった状況へと変化した。

62人の候補者が乱立する選挙戦

同選挙には、民主党、共和党、無党派を含む62人の候補者が立候補している。デイエン氏は「カリフォルニア州の選挙は、他州と比べて非常に複雑で、有権者にとっても候補者にとっても厳しい戦いだ」と指摘。同州の選挙制度がもたらす特殊性が、選挙戦の混迷に拍車をかけている。

民主党にとってのチャンスと課題

デイエン氏によれば、民主党にとっての最大のチャンスは、共和党候補間の票の分散を防ぐことだ。同氏は「共和党候補が2名に絞られたことで、民主党候補が票を集中させやすくなった」と分析する。一方で、民主党内の候補者間の競争も激化しており、党内の結束が問われている。

同選挙戦の行方について、デイエン氏は「カリフォルニア州の選挙は常に予測不能だ。誰が本選挙に進出するか、そして誰が勝利するかは、最終盤まで分からない」と強調した。

「カリフォルニア州の選挙は、他州とは全く異なる。だからこそ、この州の選挙結果は、全米の政治動向を占ううえで重要な指標となる」
デイビッド・デイエン氏