スペイン領カナリア諸島・テネリフェ沖を航行中のクルーズ船「MV Hondius」で、ハンタウイルスの集団感染が発生した。米国人18人が感染の疑いがあるとして、米国ネブラスカ州の隔離施設に収容された。
米国疾病対策センター(CDC)によると、これまでに3人が死亡しており、残りの乗客は42日間の隔離期間を経て健康状態が確認されるまで施設で経過観察を受ける。隔離施設は米国政府が運営する唯一の施設で、新興感染症の専門的な対応が可能だ。
ハンタウイルスとは
ハンタウイルスは、げっ歯類(主にシカネズミ)の糞尿や唾液を介して感染するウイルスの一群で、約40種類が存在する。米国では主に南西部で感染例が報告されており、ニューヨークなどの都市部に生息する一般的なネズミが媒介するわけではない。
今回の事例で注目されるのは、南米アンデス地域に由来する「アンデス型ハンタウイルス」が疑われており、WHOは「人から人への感染は極めてまれ」と発表している。しかし、感染者の増加に伴い、世界的なパンデミックへの懸念が広がっている。
専門家の見解
エモリー大学公衆衛生学部の感染症研究者でラジオ番組「Health Wanted」のホスト、ローレル・ブリストウ氏は、「今回の感染はパンデミックレベルの騒ぎになるほど深刻ではない」と指摘する。同氏はポッドキャスト番組「Today, Explained」に出演し、感染状況やウイルスの特性、米国の対応について解説した。
「ネブラスカの施設では、感染の可能性がある人々に対して専門的なケアとモニタリングが行われます。42日間の隔離は厳しい措置ですが、それだけ重大な状況であると理解すべきです」と述べた。
今後の対応
米国政府は、隔離施設での経過観察を経て、感染の有無を確認する方針。感染が確認されなかった場合は自宅隔離に移行するが、感染者が発生した場合はさらに厳しい措置が取られる可能性がある。
WHOは「世界的な感染リスクは低い」と強調しているが、今後の動向に注目が集まっている。