米Amazon Prime Videoで配信中の人気ドラマ「ザ・ボーイズ」シーズン5の第4話で、超人ホムランダーは自らを神と称する新たな教会「アメリカ民主党教会」の指導者となった。しかし、その支配は決して盤石ではなく、人間性への嫌悪と絶対的な忠誠の要求が彼の行き詰まりを象徴している。
同シーズンのショーランナーを務めるエリック・クリップキー氏は、米メディア「TheWrap」とのインタビューで、ホムランダーの神格化の背景について説明した。クリップキー氏は「ホムランダーは自らの人間的な部分に強い嫌悪感を抱いています。彼は人間である自分自身を忌み嫌っていますが、その一方で人間であることから逃れられない。その矛盾こそが彼を追い詰めているのです」と語った。
さらに、ホムランダーの要求は単なる服従ではなく、心の底からの愛情だった。クリップキー氏は「彼は当初から『愛など必要ない、愛は弱さだ』と言い続けてきました。しかし、最終的に彼が求めたのは『地球上の全人類が無条件で自分を愛すること』。それが実現しなければ、彼らは死あるのみです」と説明した。
神格化の行き詰まりと教団の反応
第4話の終盤、ホムランダーは新たな信者たちの熱狂的な支持を受けながらも、その神格化にはすでに亀裂が生じていた。ホムランダーが自らを神と宣言すると、教団の一員であるファイアークラッカー(演:ヴァレリー・カリー)は動揺し、神格化を「預言者」程度に軽減しようと試みた。クリップキー氏は「彼女はホムランダーにとっての『出口』を探しています。神と名乗るのはあまりにも過激すぎますから。しかし、預言者ですら彼には不十分なのです。彼にとって何もかもが不十分なのです」と述べた。
クリップキー氏はさらに「これは彼にとっても行き過ぎた一歩かもしれません。なぜなら、多くの人々は合理的な判断をするからです」と指摘。ホムランダーの神格化が彼の支配基盤を揺るがす可能性を示唆した。
時代とシンクロするホムランダーの神格化
「ザ・ボーイズ」は常に時代の話題を反映してきたが、ホムランダーの神格化は特に注目を集めている。そのタイミングは、トランプ前米大統領が先週Truth Socialに投稿した、自身をイエス・キリストに見立てた画像と重なった。トランプ氏は後に画像を削除し、自身は赤十字のボランティアを模したものだったと説明したが、その政治的・社会的な波紋は広がり続けている。
クリップキー氏は「ホムランダーの行動は、権力と支配への欲求が極限まで高まった結果です。しかし、それが現実社会でどのように受け止められるかは、また別の問題です」と語った。