米国のスピリット航空が経営破綻を発表した直後、声優でインフルエンサーのハンター・ピーターソン氏が「スピリット航空を買収し、一般市民が所有する航空会社に変える」という計画を発表した。同氏の提案は瞬く間に拡散し、わずか2日で15万人以上の支持を獲得するに至った。

スピリット航空を運営するスピリット・アビエーション・ホールディングスは5月2日、即時の「秩序だった事業撤退」を発表。長年にわたる財務難や燃料価格の高騰などが要因となった。ピーターソン氏は直後にInstagramとTikTokで動画を投稿し、以下のように主張した。

「米国には1億8000万人以上の成人がいます。そのうち20%の人々がスピリット航空の平均運賃(30~40ドル)を出資すれば、同社を買収できるのです」

同氏はさらに、一般市民が所有する「市民のための航空会社」としてスピリットを再建し、業界大手に対抗する構想を示した。同氏は専用ウェブサイトletsbuyspiritair.comを開設し、支持者からのメール登録と出資意思の表明を募っている。

「グリーンベイ・パッカーズ方式」で航空業界に革命を

ピーターソン氏の提案は、スピリット航空をアメリカンフットボールチーム「グリーンベイ・パッカーズ」のように運営するというものだ。同チームは全米で唯一、株主による民主的な運営が行われており、50万人以上の株主が主要な意思決定に参加している。

一方、米国の航空会社は通常、ブラックロックやバンガードグループ、エリオット・マネジメントなどの機関投資家が支配権を握っている。ピーターソン氏はウェブサイトで以下のように述べている。

「プライベートエクイティがスピリットの残骸を狙っています。しかし、商業航空の歴史上かつてないチャンスが残されています。乗客、従業員、そしてスピリットが支えてきた地域社会が、この会社を取り戻すのです。グリーンベイ・パッカーズのように」

出資額に関係なく「1株主1票」の民主的運営を目指す

現在、ピーターソン氏のウェブサイトでは、支持者に対しメールアドレスの登録と出資意思の表明を求めている。具体的な金額の徴収はまだ行われていないが、将来的には以下のような運営モデルを構想している。

  • 所有者は出資額にかかわらず、主要な意思決定に1票を有する
  • 利益分配は総出資額に応じて比例配分される

同氏は「市民による所有」という前例のないモデルが、航空業界に新たな可能性をもたらすと主張する。一方で、実現に向けては法的・財務的なハードルが高いことも事実だ。

米国の航空業界に対する不満が背景に

ピーターソン氏の計画が注目を集める背景には、米国の航空業界に対する一般市民の不満がある。高額な運賃、頻発する遅延、サービスの低下などが長年にわたり問題視されてきた。同氏の提案は、こうした不満を背景に「市民が主体となる新しいモデル」として支持を集めている。

今のところ、スピリット航空の買収はまだ構想段階に過ぎない。しかし、ピーターソン氏の取り組みは、航空業界のあり方を問い直すきっかけとして、注目を集めている。