デラウェア州上級裁判所のショーン・ルグ判事は、2025年6月11日、カリフォルニア州知事ギャビン・ニュースム氏が FOX ニュース・ネットワーク(FNN)を相手取った名誉毀損訴訟について、審理を継続する決定を下した。42ページに及ぶ判決文の中で、ルグ判事は FNN の報道が「ニュースム知事はトランプ前大統領との電話を否定したが、実際には会話があった」とする主張について、名誉毀損の成立可能性を認めた。
ニュースム知事は 2025年6月6日(金)午後10時過ぎ(米東部時間6月7日午前1時過ぎ)、トランプ前大統領と電話で会談していた。しかし 6月10日(火)のホワイトハウスでの記者会見で、トランプ前大統領は「ニュースム知事と最後に話したのは『昨日』だ」と発言。これを受け、ニュースム知事は X(旧 Twitter)に「電話はなかった」と投稿した。その後、トランプ前大統領は FNN の報道陣に対し、電話の「通話記録」を提示。これを根拠に FNN は全米放送で「Gavin Lied About Trump's Call(ニュースム知事はトランプ氏との電話を巡り嘘をついた)」とのテロップ付きで報じた。
ニュースム知事側は、電話の有無ではなく「いつ行われたか」が争点だったと主張。FNN の報道は、ニュースム知事が「電話がなかった」と発言した事実を捉えて「嘘をついた」と断定したが、そのタイミングに関する文脈を無視していた。このため、ニュースム知事は FNN を相手取り、名誉毀損と損害賠償を求める訴訟を提起していた。
FOX ニュース側の「実質的真実」主張を退ける
FNN 側は、ニュースム知事の X への投稿が「電話がなかった」との事実を示すものであり、その発言が「嘘」に該当すると主張。しかしルグ判事は、「嘘」の判断は電話の有無ではなく、そのタイミングに関する発言の文脈に依存すると指摘した。ニュースム知事は「電話がなかった」と発言したが、これは「いつ行われたか」という争点に対する回答ではなく、単に「なかった」との事実を主張したものだった。
FNN はまた、ニュースム知事の発言が「実質的真実」に当たると主張したが、判事はこれを認めなかった。判決文では、「実質的真実の原則は、発言の本質的内容が真実であるかどうかを問うものであり、ニュースム知事の発言は電話の有無に関するもので、タイミングに関するものではない」と説明。このため、FNN の主張は成り立たないと結論付けた。
デラウェア州の訴訟要件を満たすと判断
ルグ判事は、デラウェア州の民事訴訟規則Rule 12(b)(6)に基づき、ニュースム知事の訴えが「いかなる状況下でも立証可能な主張を含む」と判断。これにより、名誉毀損の成立可能性があると認め、審理を継続する決定を下した。
ニュースム知事側の代理人弁護士は「知事は電話の有無について正確に発言したが、FNN は文脈を無視して『嘘』と断じた。これは名誉毀損に該当する」とコメント。一方、FNN 側は「報道は公益性が高く、ニュースム知事の発言が議論の的となっていた」と反論している。
今後、両当事者は証拠提出や尋問を経て、改めて裁判所での審理が行われる見通しだ。