米ユタ州で巨大データセンター建設が承認されるも住民の怒り爆発
米ユタ州トレモントンで開催されたボックスエルダー郡委員会の会議で、住民が「これは偽りの情報だ。現実ではない」と叫びながら抗議する動画がX(旧Twitter)に投稿された。同委員会は、実業家ケビン・オリアリー氏が支援する「プロジェクト・ストラトス」と呼ばれる巨大データセンターの建設計画を承認した。計画面積は4万エーカー(約161平方キロメートル)で、ニューヨーク・マンハッタンの2.5倍に相当する規模だ。軍へのデータサービス提供を目的とするこの計画は、地元住民の猛反対にもかかわらず、委員会の3人全員が賛成票を投じた。
動画では、会場から「恥を知れ、恥を知れ、恥を知れ」という合唱が聞こえ、委員会メンバーは「我々は恥をかいてもこの計画を進める」との決断を下した。委員のタイラー・ビンセント氏は「誰もが財産権を持っており、所有者は自由に土地を活用できる」と述べ、計画の正当性を主張した。
全米でデータセンター計画の中止相次ぐ — 反対運動が加速
米国では、データセンター建設に対する反対運動が全国的に拡大している。調査会社ヒートマップ・ニュースの分析によると、2026年1月から3月にかけて、20件のデータセンター計画が地元自治体の反対により中止された。これは2025年第4四半期の記録を上回る数字で、反対運動の激化を示している。
一方で、データセンター業界は急成長を続けており、米テック推進団体アメリカン・エッジ・プロジェクトの調査によると、米国では現在2,788のデータセンターが建設・計画段階にある。これは前年比67%増に相当し、データセンターの需要が高まっていることがわかる。しかし、その反面で反対運動も激化しており、計画の中止が相次いでいる。
データセンターの環境負荷は意外に小さい — 専門家が指摘
データセンター建設反対の背景には、環境や景観への懸念がある。しかし、専門家はデータセンターの環境負荷が他の産業と比較して低いと指摘する。具体的には、以下の点が挙げられる。
- 排出ガスと騒音:データセンターは比較的静かで、排出ガスも少ない。
- 交通と公共サービスへの影響:従業員数が少ないため、交通渋滞や公共サービスへの負荷が小さい。
- 水使用量:オフィスビルと同程度の水使用量に抑えられている。
- 電力消費:巨大な電力消費は懸念されるが、消費者の電気料金上昇には直結していないとの報告もある。
米議会調査局(CRS)の報告書によると、データセンターは電力インフラへの投資を増加させる一方で、電力会社の収益性向上により電気料金の低下につながる可能性もあるという。
「NIMBY」とテクノフォビアの台頭
データセンター反対運動の背景には、いわゆる「NIMBY(Not In My Backyard)」と呼ばれる「自分の裏庭には来てほしくない」という地域主義的な反発と、テクノロジー全般への不信感が存在する。これらの反対意見は、データセンターの環境負荷や経済的メリットに関する合理的な議論では説得しにくいと専門家は指摘する。
「データセンターは土地利用の観点から見れば、非常に低いインパクトの産業だ。排出ガスも少なく、騒音もほとんどない。従業員数も少ないため、交通や公共サービスへの負荷も小さい。水使用量もオフィスビル並みだ。電力消費は大きいが、それが直ちに消費者の電気料金上昇につながるわけではない」
— 最近の報道記事より
今後の展望 — 反対運動と成長のバランスをどう取るか
データセンター業界の急成長と反対運動の激化は、今後も続くことが予想される。地元自治体は、経済成長と地域住民の反発のバランスをいかに取るかが課題となる。一方で、データセンターの環境負荷が他産業と比較して低いという事実を踏まえ、より合理的な議論が求められている。