米国のドナルド・トランプ前大統領の長男ドン・ジュニアとエリック・トランプが率いる企業が、相次いで大型の政府契約を獲得し、巨額の利益を得ていることが明らかになった。家族ビジネスの拡大と利益相反の疑惑が浮上する中、透明性をめぐる議論が加速している。

軍事ドローン調達で初の契約を獲得

昨年設立された軍事ドローンメーカー「Powerus」は、元米陸軍特殊部隊将校らによって設立され、今年3月にゴルフクラブ運営会社との合併を通じて上場した。この合併により、同社は反転合併を実施し、株式公開企業となった。同社の取締役には、ドン・ジュニアとエリックが加わった。

同社の投資ファーム「American Venture」が合併後の企業を支援し、投資銀行「Dominari Securities」が取引に関与した。今週、米空軍はPowerus社製のドローンを「 Irán との戦争が60日に突入した」状況下で調達することを発表した。同社の共同創業者ブレット・ヴェリコヴィッチは、この契約がホワイトハウスとの関係に起因するものではないと主張した。

「彼らは投資家リストに誰が載っているかでシステムを選ぶわけではありません。今必要だから選んでいるのです」
(ヴェリコヴィッチ氏、ブルームバーグとのインタビューより)

米ジョージタウン大学の調査によると、米国には少なくとも187社のドローンメーカーが存在するが、Powerus社が政府契約を獲得した背景には、同社の技術力だけでなく、トランプ家との関係性が注目を集めている。

カザフスタンのタングステン鉱山開発でも利益獲得

さらに、ドン・ジュニアとエリックが支援するペーパーカンパニーが、カザフスタンのタングステン鉱山開発プロジェクトに関与していることが判明した。昨年、同国の大手タングステン鉱山が米政府から16億ドルの支援を受けており、米国と中国、ロシアの鉱山企業との競争が激化していた。

2023年9月、カザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領はドナルド・トランプ前大統領に対し、米国投資グループ「Cove Kaz Capital」を通じたタングステン鉱山開発プロジェクトへの参加を表明。同社は米政府系ファンドが支援する企業であった。同年10月21日、この取引が報道された。

その後、ドン・ジュニアとエリックは、2023年8月にDominari Securitiesを通じて設立された特別目的会社を通じて、建設会社「Skyline Builders」に2400万ドルを追加投資。同年10月31日には、Skyline Buildersがカザフスタンの鉱山企業「Kaz Resources」の株式20%を2000万ドルで取得した。

2023年11月6日、Cove Kaz Capitalとカザフスタン国営鉱山会社が、世界最大級の未開発タングステン鉱山の共同開発を発表。同月11日には、Cove Kaz CapitalとKaz ResourcesがSkyline Buildersとの合併を発表したが、合併発表文書にはトランプ兄弟の名前は記載されなかった。

トランプ家の関与を否定

ドン・ジュニアの代理人は、同氏が米政府との取引に関与していないと主張した。

「ドン・ジュニアはAmerican Venturesの受動的投資家であり、同社の業務には関与していません。また、投資先企業や顧問先の代理として連邦政府との接触も行っていません」
(ドン・ジュニア代理人、フィナンシャル・タイムズとのインタビューより)

一方で、トランプ家のビジネス活動と政府との関係性が疑問視される中、米国民の間では透明性の確保が求められている。特に、軍事関連の契約や海外資源開発における利益相反の可能性が指摘されており、今後さらなる調査が注目される。