フォードレーシングは、米国ノースカロライナ州シャーロットで開催されたNHRAイベントにおいて、電気自動車(EV)としては世界最速となる1/4マイル(約402メートル)を6.87秒で走破し、新記録を樹立した。
同車「マスタング・コブラジェット2200」は、時速221マイル(約356キロメートル)を記録し、前年の同車種「コブラジェット1800」が記録した7.62秒を0.75秒上回る圧倒的な速さでEVの世界記録を更新した。
2,200馬力の電動パワーユニット
コブラジェット2200は、新開発の電動モーターとインバーターの組み合わせにより、車輪に2,200馬力を供給する。従来の4基構成から2基構成に変更し、複雑さを軽減するとともに効率を98%まで高めた。出力は600馬力増加したが、モーターとインバーターの重量は従来の半分に抑えられている。
動力源は900ボルトの電気アーキテクチャと32kWhのバッテリーで、20分で充電可能。NHRAの45分ターンアラウンドルールにも余裕で対応できる。
レーシングカーならではの機構
EVとしては珍しい機構も搭載されている。瞬時に全力を路面に伝えるためのクラッチや、走行中に最適なパワーバンドで走行できるマルチギアトランスミッションを採用。これにより1/4マイルタイムを最大1秒短縮できるという。また、バッテリー設計により重量配分を最適化し、トラクション性能を向上させた。
レーシングカーらしい安全装備として、高圧回路を瞬時に遮断するための火工品式回路ブレーカーも搭載。NHRAの安全基準に対応している。
市販車への技術転用に期待
コブラジェット2200に搭載された高効率モーターや900ボルトシステムなどの技術は、将来的に市販車に転用される可能性がある。しかし、米国自動車メーカー各社は近年、BEV(バッテリー電気自動車)技術への投資を大幅に削減している。
フォードは先日、F-150ライトニングをガス発電機付きEREV(拡張レンジ電気自動車)として再設計する計画を発表。GMも先週、次世代の大型EVピックアップトラックとSUVの発売を延期した。これはガソリン価格の急騰が背景にあるとみられる。