「ポリティコのマルコ・ルビオみたいな存在」——最近、同社のダシャ・バーンズにそう揶揄された。米国務長官の多岐にわたる役職と、それに伴う数々のミームを皮肉ったジョークだ。バーンズ(34)は、首都ワシントンのブルーミングデール地区にある自宅から取材に応じ、「いつミームが生まれるのか、楽しみです」と語った。その理由は明確だ。来月から彼女は「ポリティコ・グローバル・アンカー」に就任し、動画と音声コンテンツを通じて同社のジャーナリズムを拡大する重責を担うことになる。

この新たな役割は、彼女の既存の職務に加わるものだ。現在、彼女はポリティコのホワイトハウス担当局長として、ドナルド・トランプ前大統領へのインタビューや論戦を繰り広げている。また、朝刊ニュースレター「プレイブック」のチーフ・コレスポンデント、日曜討論番組「ザ・コンバセーション」のホストとして、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領やイリノイ州知事JB・プリツカー、ビル・ゲイツといった有力者へのインタビューを実施。さらに、C-SPANの週刊討論番組「シーファイア」の司会も務め、対立する政治家同士が建設的な議論を展開する場を提供している。

2024年12月にNBCニュースからポリティコへ移籍したバーンズは、同社初の「クリエイター型ジャーナリスト」として、その存在感を高めている。これは、20年近い歴史を持つ同社が、動画・音声コンテンツの拡充に本格的に乗り出す象徴的な動きだ。

ポリティコの戦略転換:ジャーナリストからクリエイターへ

バーンズの台頭は、同社の編集長に就任したばかりのジョナサン・グリーンバーガーの方針と軌を一にする。グリーンバーガーは2024年6月にABCニュースからポリティコに移り、直近では編集長に昇格した。同社は、スクープ中心の報道から脱却し、マルチプラットフォームで活躍するスター記者の育成に注力し始めている。

この流れは、他のワシントン発のメディアでも見られる。例えば、Axiosは記者をテレビ番組「ジ・アクシオス・ショー」のインタビュアーに起用し、ワシントン・ポストは記者のディラン・ウェルズを起用した「WPクリエイター」を立ち上げ、ニュースレターとTikTokを通じた情報発信を強化。さらに、ポリティコの共同創設者ロバート・オールブリットンが立ち上げたNOTUS(近く「ザ・スター」に改称予定)も、動画ポッドキャスト「オン・NOTUS」を開始した。

「テレビに、耳に、メールボックスに——私たちが目指すのは、まさにそういう世界です。ポリティコでも、この方向性をリードし、ニュースルーム全体を巻き込んでいきたい」
ダシャ・バーンズ

マルチプラットフォーム時代のジャーナリズム

バーンズがNBCニュース時代に最も強烈に記憶している出来事は、2024年のトランプ大統領選挙キャンペーン中、ペンシルベニア州バトラーで起きた暗殺未遂事件の取材だ。銃撃犯が共和党候補を狙ったその瞬間から、彼女は現場で約8時間にわたり「途切れることなく」報道を続けた。この経験が、リアルタイムの情報を求める視聴者に一刻も早く届けるという使命感を強めたという。

バーンズとグリーンバーガーは、テレビ経験を生かして、ポリティコの動画・音声コンテンツに「緊急性」を取り込む計画だ。バーンズは「ポリティコには、この方向性の芽が既にあった」と語り、新たなストーリーテリング手法への挑戦に意欲を示す。

出典: The Wrap