米国最高裁判所は6月27日、カナダのエネルギー企業エンブリッジが運営するLine 5パイプラインを巡る係争について、州裁判所で審理すべきとの判断を全会一致で下した。これにより、老朽化したパイプラインがミシガン州とカナダを結ぶマキナック海峡の湖底を横断することを巡る是非が、州裁判所で改めて審議されることとなった。
この係争は、ミシガン州のダナ・ネッセル司法長官が2019年から取り組んできたもので、パイプラインが引き起こす可能性のある原油流出のリスクを理由に、海峡横断の許可を取り消すよう求めてきた。ネッセル司法長官は声明で、「エンブリッジの引き延ばし戦術により、Line 5からの大規模な原油流出の脅威が長年続いてきた。これは、我が州の最も貴重な自然資源を人災の危機にさらすものだ」と述べた。
エンブリッジの主張を退ける最高裁
最高裁は、エンブリッジが連邦裁判所への移送を遅らせた点や、連邦法・国際協定の関与を主張したことに対し、「説得力に欠ける」と判断。ソニア・ソトマイヨール判事は全員一致の意見書で、「エンブリッジは手続き上のタイミングを誤った」と指摘した。
エンブリッジ側は、連邦の安全基準や米加間の国際協定が関わることから、連邦裁判所が適切な管轄権を有すると主張していた。一方でミシガン州は、州の自然資源管理権を侵害するパイプラインの存在が州裁判所で審理されるべきだと反論。最高裁は州裁判所が適切な管轄権を有するとの判断を下した。
州裁判所が今後の行方を決定
管轄権の問題が解決したことで、州裁判所は今後、マキナック海峡を横断するパイプラインの是非について審理を進める。Great Lakes Business Networkの弁護士、アンディ・ブッシュバウム氏は、「イデオロギーを超えて、最高裁の裁判官全員が州裁判所こそが適切な審理機関だと認めたことは大きな前進だ」と述べた。
「我々はようやく、Line 5が五大湖の湖底に残るべきか、代替ルートが存在するのかを州裁判所が判断する段階に至った」と同氏は強調した。
先住民部族の声が反映される機会に
ミシガン州内の12の先住民部族は全て、Line 5の廃止を求めており、水資源や条約権、生活様式への脅威を訴えている。これらの部族は最高裁の審理には参加していなかったが、今後は州裁判所の手続きで自らの声を届ける機会が生まれる見通しだ。
「今回の判決により、部族は自らの主張を堂々と表明し、条約権の保護、自然資源の保全、そして文化的な生活様式の維持を訴える場が生まれます」
— ホイットニー・グラベレ Bay Mills Indian Community 代表
Line 5は、ウィスコンシン州スーペリアからオンタリオ州サーニアまで645マイル(約1,038キロ)にわたり原油と天然ガス液を輸送しており、そのうち4.5マイル(約7.2キロ)がマキナック海峡の湖底を通過している。カナダ政府はLine 5の廃止に反対しており、同パイプラインがオンタリオ州とケベック州への石油供給の半分を担っていると主張している。