2023年10月25日、米国メイン州ルイストンで銃乱射事件が発生し、18人が死亡した。犯人の精神状態の悪化は同年5月から警察に把握されていたが、7月6日には他の銃器を所有していたにもかかわらず、攻撃に使用した銃を合法的に購入していた。8月になると、犯人は陸軍予備軍の隊員に対し基地を「銃撃する」と繰り返し脅迫していたが、精神鑑定のため一時入院させられた後、退院していた。その2か月後、犯人はボウリング場とカフェで凶行に及んだ。
2024年、ルイストンの悲劇を調査する独立委員会が最終報告書を発表し、軍と警察が犯人を武装解除や入院させる措置を取らなかったことを批判した。委員会報告書の発表に先立ち、メイン州議会は銃購入者に対する新たな規制法を可決した。その内容は、銃の売り手が購入合意から72時間経過するまでは銃の引き渡しができないという「待機期間」の導入だった。しかし、この72時間ルールと、事件発生の6か月前に起きた犯人の凶行との間に直接的な関連はなかった。
法廷闘争と憲法修正第2条の解釈
2024年4月3日、連邦第1巡回区控訴裁判所は、ルイストンの72時間待機期間法に対する差し止め命令を取り消す判決を下した。この判決は、銃の購入を規制する法律が憲法修正第2条の「武器を保持し携行する権利」の対象外であるとの見解に基づいている。
判事のセス・アフレイムは判決文で、「銃の購入や取得に関する規制は、修正第2条の『明確な文言』が対象とする行為を直接規制するものではない」と述べた。同判事はさらに、「武器を保持し携行する権利は、武器を取得する権利を必ずしも含意しない」と指摘した。この解釈によれば、銃の移転そのものを完全に禁止する法律であっても、修正第2条の対象外となる可能性があるという極論につながる可能性がある。
「shall-issue」法との関連性
判決では、ブリュエン判決の注釈9に言及し、銃の携行許可を遅延させる「shall-issue」法(申請者が法を遵守していることを確認するための手続きを経た上で許可を発行する制度)は、修正第2条の完全な二段階審査の対象外であるとの見解が示された。注釈9では、「shall-issue」制度が背景調査や安全講習を義務付けるのは、武器を携行する者が法を遵守する責任ある市民であることを確認するための措置であると説明されている。しかし、ルイストンの72時間待機期間法は、銃の購入自体を規制するものであり、携行許可の遅延とは性質が異なる。
被害者支援団体の見解と現実的課題
判決では、メイン州 Domestic Violence 終結連合が提出した陳述書も考慮された。同団体は、被害者が銃を購入して自衛しようとすることで、逆に銃が被害者に対して使用されるリスクが高まると警告した。また、同団体は72時間の待機期間中に被害者を保護する「サービス」を提供すると主張したが、これは実際に命の危険にさらされている配偶者にとってどれほどの安心材料となるのか疑問が残る。
法律の専門家は、この判決が今後の銃規制法に与える影響について議論を呼んでいる。修正第2条の解釈を巡り、連邦裁判所間で見解の相違が生じており、最高裁判所による明確な判断が待たれる状況だ。