ワシントンD.C.の司法長官ブライアン・L・シュワルブ氏は4月20日、ライブネイション(Ticketmasterの親会社)が同地区の顧客に対し、不当な手数料の支払いを巡る問題で990万ドルの和解金を支払うことを発表した。このうち890万ドルがD.C.在住の顧客に返金される見込みだ。

この和解は、同地区の消費者保護法違反を巡る数か月にわたる調査の結果、成立したもの。ライブネイションは、顧客に対し「10年にわたりチケット価格を誤導し、不当な手数料を課し、違法な圧力販売手法を用いてきた」との司法長官事務所の発表があった。

Ticketmasterの「ダークパターン」とは

同事務所によると、ライブネイションの調査で明らかになった主な問題点は以下の3点だ。いずれも消費者を操作する「ダークパターン」と呼ばれるUX手法に該当する。

  • 価格の不当表示:ライブネイションは2015年から2025年5月まで、チケットの実質的な価格に手数料を含まずに広告し、最終的に決済画面で初めて全額を表示していた。これにより、顧客は購入前に正確な価格を把握できなかった。
  • 手数料の不透明な説明:ライブネイションは手数料の性質や目的、自社が設定に関与している事実を十分に開示していなかった。
  • 圧力販売手法:カウントダウンタイマーやポップアップ通知、非活動通知を用いて「チケットがすぐに売り切れる」という印象を与え、焦った購入を促していた。

2025年に入ってからライブネイションは、これらの問題に対応し、手数料の明確な表示や非活動通知の改善を行ったが、今回の和解により、それらの改善策を維持することが義務付けられた。

和解の内容と返金対象者

この和解により、ライブネイションは以下の条件を受け入れた。

  • チケット価格に手数料を含む総額を、購入前に明確に表示すること
  • 手数料の内訳や目的を透明化すること
  • 圧力販売につながるUI要素を排除すること
  • 990万ドルの和解金のうち、890万ドルをD.C.在住顧客に返金すること

返金の対象となるのは、2015年1月から2025年5月までの間にライブネイション(Ticketmaster)を通じてチケットを購入したD.C.在住者。具体的な返金手続きや申請方法については、近日中に発表される見込みだ。

連邦独占禁止法訴訟との関連

今回の和解は、4月16日に下されたライブネイションに対する連邦独占禁止法訴訟の判決とは別のもの。同判決では、ライブネイションが長年にわたり米国の大規模会場を独占的に支配していたと認定されたが、具体的な制裁内容はまだ明らかになっていない。

「ライブネイションは顧客を欺き、不当な利益を得ていた。この和解は、消費者保護の観点から重要な一歩だ」
— ブライアン・L・シュワルブ(ワシントンD.C.司法長官)

顧客は今後、ライブネイションのウェブサイトや公式発表を通じて、返金申請の詳細を確認できる。また、他の州でも同様の問題が指摘されていることから、今後の動向に注目が集まる。