助けを求めることのハードル

助けを求めることが苦手な人は少なくない。筆者自身もその一人だったが、妊娠合併症により「安静加療」を勧められたことで、初めてその壁に直面した。家事や外出、買い物など、これまで当たり前にできていたことが突然困難になり、他者の支援が必要不可欠となった。しかし、頼る行為は「失敗」や「恥」といった感情を引き起こし、特に米国のような自立を重視する社会では、さらにハードルが高く感じられる。

臨床心理学者でリッチモンド大学准教授のJanelle Peifer氏によると、このような感情は完璧主義者や、支援を受けることに慣れていない人、虐待やネグレクトの経験がある人に特に顕著だという。リストラや離婚などの大きな変化、あるいは簡単な頼みごとであっても、頼る行為は多くの人にとってストレスフルなものだ。

頼ることのメリット:助ける側の気持ちから学ぶ

頼ることへの抵抗を和らげる一つの方法は、自分が他者を助けた経験を振り返ることだ。例えば、友人の修士論文審査を支えたり、病気の家族に食事を作ったり、近所の荷物を預かったりした経験は、きっと相手にとっても負担ではなく、むしろ喜びだったはずだ。実際、心理療法士のCassidy Dallas氏は「助ける行為は相手にとっても気分を高揚させる」と語る。

研究によれば、ボランティア活動や小さな親切行為でさえ、オキシトシン(愛情ホルモン)、ドーパミン(報酬や快楽に関連)、セロトニン(気分を高める神経伝達物質)などの「幸せホルモン」が分泌され、気分が良くなることが明らかになっている。つまり、助ける側も助けられる側も、双方にとってプラスの効果があるのだ。

具体的な頼み方:相手の立場を考えたアプローチ

頼る際のコツは、相手にとって負担にならないよう配慮することだ。以下のポイントを押さえておこう。

  • 具体的に伝える:「手伝ってほしい」ではなく「夕食を作ってもらいたい」や「荷物を運ぶのを手伝ってほしい」と具体的に伝える。
  • タイミングを選ぶ:相手が忙しい時やストレスを感じている時を避ける。
  • 感謝の気持ちを伝える:助けてもらった後は、必ずお礼を伝える。相手も「役に立てた」という実感を得られる。
  • 見返りを求めない:金銭的な見返りや将来的な恩返しを期待するのではなく、純粋な支援として受け止める。

頼ることで得られるもの

頼る行為は、一見すると弱みを見せる行為のように感じられるが、実は人間関係を深める貴重な機会となる。人は助けを求めることで、お互いの信頼関係を築き、支え合うことの大切さを再確認できる。また、頼る側も助けられる側も、双方にとって心の負担が軽減される効果がある。

「頼ることは決して弱さではなく、人間関係を強化する力強い手段です。適切な方法で頼ることで、あなた自身も周囲の人も、より幸せな気持ちを共有できるでしょう」
— Janelle Peifer, 臨床心理学者

まとめ:頼る勇気を持とう

助けを求めることは、誰にとっても難しいものだ。しかし、その一歩を踏み出すことで、新たな人間関係が生まれ、心の負担が軽くなることもある。まずは小さな頼みごとから始めて、徐々に慣れていこう。頼ることが当たり前の行為として受け入れられる社会であれば、きっとあなたの周りにも助けてくれる人が現れるはずだ。

出典: Vox