米ノースカロライナ州西部に位置するウェストマリオンは、南部アパラチア山脈(地元ではブルーリッジ山脈とも呼ばれる)の一角にある歴史的な黒人コミュニティだ。この地域は、地球上で最も多様なサンショウウオが生息する場所として知られ、標高差による独特の生態系が北米で最も多様な樹木種を育んでいる。また、南北の動物の移動経路としても重要な役割を果たす。
しかし、2023年のハリケーン・ヘレンはこの地に壊滅的な被害をもたらした。豪雨により小川が氾濫し、樹木や建物を押し流す激流がコミュニティを分断した。こうした災害を受け、地元団体「ウェストマリオンInc」は、コミュニティの声を長年聞き続けてきた経験を活かし、レジリエンスハブの建設を計画している。
レジリエンスハブは、かつての学校跡地に建設される予定で、気候変動の影響下でも機能するだけでなく、地域の医療センター、技術拠点、食品インキュベーター、コミュニティセンターとしての役割も担う。また、新たな橋の建設により、高速道路で分断されたコミュニティの再結合も目指す。
ハブの役割と資金調達
- 災害対応拠点:気候変動による災害時に迅速な支援を提供
- 医療・健康サービス:地域住民の健康維持を支援
- 技術・教育:デジタルリテラシー向上や起業支援
- 食料安全保障:地元の食料生産と流通を強化
- コミュニティ再結合:高速道路で分断された地域をつなぐ橋の建設
現在、レジリエンスハブの建設に向けた資金調達キャンペーンが進行中だ。
コミュニティの歴史と未来
ウェストマリオンは、かつての黒人学校が人種差別により閉鎖された歴史を持ち、その後の高速道路建設でさらにコミュニティが分断された。しかし、地元の女性リーダーたちが中心となり、気候変動への適応策を話し合うフォーラムを開催するなど、長年にわたりレジリエンスを高める取り組みが続いてきた。
気候変動の影響は深刻だが、このコミュニティは希望を失わず、持続可能な未来に向けた具体的な解決策を模索している。ハブの完成により、災害時の支援だけでなく、日常的な生活の質向上も期待される。
映像プロジェクト「Climate Change And...」
フォトジャーナリストのデイナ・レッジェロ氏は、自身のプロジェクト「Climate Listening Project」を通じて、ウェストマリオンの声を広めている。2013年に記録的な豪雨を記録した西ノースカロライナで始まったこの取り組みは、アパラチア山脈の重要性を伝える活動へと発展した。
「ハリケーン・ヘレンは大きな被害をもたらしたが、コミュニティの絆と希望はそれよりも強い。私たちはこの場所を守り、未来につなげていく」
— デイナ・レッジェロ
ウェストマリオンの取り組みは、気候変動に脆弱な地域におけるコミュニティ主導のレジリエンス強化のモデルとして、注目を集めている。