エネルギー省の「贅沢な悩み」:予算執行率が過去最低に
米エネルギー省(DOE)は、予算を使い切れないという「贅沢な悩み」に直面している。同省が2025会計年度に執行した予算は総額のわずか2%にとどまり、前年の38%から大幅に減少した。この数字は、非営利団体EFI Foundationが発表した報告書で明らかになった。
人員不足と組織再編が主因
DOEの予算執行率低下の背景には、政治的な混乱だけでなく、人員不足というより根本的な問題がある。政府効率化局の取り組みにより、DOE職員の5分の1にあたる2,000人以上が退職した。さらに、クリス・ライトエネルギー長官による「カフカ的」と言われる組織再編で、部署の統合や再編が進み、業務の方向性が不明確になった。
その結果、DOEは膨大な予算を抱えながらも、それを活用する人材と明確な指針を失い、予算執行が滞っている状況だ。EFI Foundationのアレックス・キザー専務取締役は「DOEは歴史上最大の不均衡に直面している」と指摘する。
1人当たりの予算負担が8倍に
DOEの職員1人当たりが管理する予算額は、2017会計年度の約470万ドルから、2026会計年度の予算案では3,570万ドルにまで膨れ上がった。これは実に8倍の増加だ。その背景には、2021年のインフラ投資・雇用法と2022年のインフレ削減法による巨額の資金注入がある。
両法によりDOEには計970億ドルが割り当てられ、米国史上最大規模の気候変動対策投資となった。しかし、この投資ブームは短命に終わった。昨年トランプ政権が再登板すると、連邦職員の大量退職プログラムにより3,000人以上の職員が退職し、数百のプロジェクトが中止された。これにより230億ドルの連邦支援が消滅した。
残された巨額予算と実行力のギャップ
昨夏成立した「One Big Beautiful Bill Act」により、一部の税額控除が早期に終了したが、DOEから削減されたのはわずか18億ドルに過ぎない。多くの支出は既に実行済みか、そのまま残されている。
DOEは歴史的な高水準の予算を抱えながらも、職員数はかつてないほど減少したまま。2021年と2022年の法案で与えられた資金を活用するための期限が迫る中、DOEは依然として人材不足に苦しんでいる。例えば、融資プログラム局は数千億ドルの融資権限を有しているが、その実行が遅れていると批判されてきた。
今後の展望と課題
DOEの予算執行率の低下は、単なる数字の問題にとどまらない。気候変動対策という国家的な目標を達成するためには、予算だけでなく、それを実行する人的資源と組織の機能が不可欠だ。今後、DOEがどのようにしてこのギャップを埋め、資金を有効活用していくのかが注目される。