米司法省(DOJ)は10月8日、公民権団体として知られる南部貧困法律センター(SPLC)を、監視対象の白人至上主義団体に対し秘密裏に資金提供していたとして起訴した。DOJは、SPLCが「人種差別の創出」を目的とした活動を行っていたと非難している。
DOJの発表によると、SPLCは2014年から2023年にかけて、監視下にあった極右団体の活動家に対し、計300万ドル以上を支払っていた疑いがある。支払いは、団体内部からの情報提供者(インフォーマント)への報酬として行われたとしているが、DOJはこれを詐欺および資金洗浄に該当すると主張している。
支払われた金額と関係者
- 300万ドル以上:2014年から2023年にかけて、複数の白人至上主義団体関係者に支払われた総額。
- クー・クラックス・クランの幹部:同団体の「インペリアル・ウィザード(最高指導者)」に支払われた報酬が含まれる。
- ネオナチ団体のリーダー:アーリアン・ネイションズや全米社会主義運動(NSM)の指導者に対する支払いがあった。
- 2017年「 Unite the Right 」集会の関係者:バージニア州シャーロッツビルで行われたデモのロジスティック支援に関与した人物に27万ドルを支払ったとされる。
DOJのトッド・ブランシェ米司法長官代行は記者会見で、「SPLCは自らの存在意義を正当化するために人種差別をでっち上げている」と非難した。
SPLCの主張と反論
SPLCは、これらの支払いは「暴力的な極右団体との闘い」の一環であり、合法的な活動費用だと主張している。同団体の暫定CEO、ブライアン・フェア氏は声明で、「暴力的な差別団体との闘いは最も危険な仕事の一つであり、私たちの最も重要な使命だ」と述べた。
しかしDOJは、SPLCが支払いを隠蔽するために「従業員がいない架空の団体」を設立し、資金の流れを偽装していたと指摘。これにより、寄付者や金融機関を欺いたとして、詐欺および資金洗浄の罪に問うとしている。
具体的には、あるインフォーマントが9年間で100万ドルを受け取り、暴力的な極右団体から文書を盗み出してSPLCに提供していた。さらに、別のインフォーマントには6,000ドルが支払われ、盗難の責任を偽装させたとされる。
今後の展開と法的論点
DOJは、SPLCの行為が法的に「詐欺」および「資金洗浄」に該当すると主張。一方でSPLCは、これらの活動が「公民権運動の理念を実現するための正当な手段」だと強調している。
今後、裁判を通じてSPLCの行為が合法か違法かが問われる見通し。また、同団体の活動が「差別の監視」から「差別の助長」へと転じた可能性についても議論が巻き起こるだろう。