DefiLlamaのニュース部門としてスタート
暗号資産(暗号通貨)データプラットフォームDefiLlamaのニュース部門として、DL Newsは2022年に設立された。当時、暗号業界の多くの関係者に愛されていたDefiLlamaの一翼を担う形で、新たなメディアが誕生した。
設立の背景と理念
DL Newsの設立者たちは、暗号業界に長年携わってきた経験から、当時の暗号メディアの状況に強い不満を抱いていた。彼らは、主流メディアの偉ぶった態度と、暗号メディア特有の過剰な宣伝(shilling)の双方を避けた、バランスの取れた報道を目指した。
しかし、DL NewsはDefiLlamaと異なり、公益目的ではなく、利益を追求するビジネスとして構想された。設立当初は「暗号業界版ブルームバーグ」を目指す声も多く、業界内外から注目を集めた。
内部対立と独立への道のり
設立から1年も経たない2023年初頭、DefiLlama内部で主要な対立が発生。これにより、DL NewsはDefiLlama本体から事実上切り離されることとなった。その後2年間、両組織間の連携は最小限にとどまり、DL NewsはDefiLlamaのブランドとアイデンティティを引き継ぐ一方で、実質的な支援や流通網へのアクセスを失うこととなった。
研究部門の成功とメディア環境の悪化
メディア環境の悪化は、DL Newsにとって大きな課題となった。当初はサブスクリプションモデルでの収益化を模索したが、2024年には商業部門としてDL Researchを立ち上げた。この取り組みは予想を上回る成功を収め、2025年には売上高が前年比270%増となり、年間売上高で7桁を達成。暗号業界の大手企業を含む顧客基盤を構築し、DefiLlamaとの連携も再び強化されつつあった。
しかし、暗号資産やテックメディア全体のトラフィックは急速に縮小。AIの台頭により検索流通が崩壊し、寄生的なアグリゲーションが横行した。優れたジャーナリズムを提供していたDL Newsだったが、サイトへのアクセスは減少し、オーディエンス規模の拡大なしには商業的な存続が困難な状況に追い込まれた。
閉鎖への決断とチームの功績
4月中旬には、DL Newsの経営陣は事業継続の限界を認識。人員削減を開始し、5月1日にスタッフに対し、同月末での閉鎖を発表した。
閉鎖が発表された際、設立者はチームの功績を振り返った。「私たちは大きなストーリーを報道し、他のメディアがカバーしなかった分野に踏み込みました。時には強力な人物を怒らせ、法的な脅迫を受けることもありましたが、それはジャーナリストとして正しい仕事をしていた証拠です」と語った。
設立者は、DL Newsのチームについて「非常に優秀で、思いやりがあり、ユーモアがあり、才能に溢れたメンバーばかりだった」と評価。今後、メンバーの多くが新たな職を探すことになるが、設立者は「これほど優れたチームは他に見つからないだろう」と惜しみながらも、その実力を強くアピールした。
主な功績
- 暗号業界の主要な出来事を数多く報道し、業界内で信頼を得た
- 他のメディアが手を出さなかった分野に積極的に取り組んだ
- 法的脅迫を受けるほどの調査報道を実施し、ジャーナリズムの使命を果たした
- 研究部門(DL Research)を通じて、暗号業界の大手企業との取引を確立
今後の展望とメンバーへのメッセージ
設立者は、DL Newsの閉鎖について「私たちの目標は高かったが、業界の変化と競争の激化により、残念ながら事業を継続することができなかった」と振り返った。しかし、チームの成果とジャーナリズムへの貢献を誇りに思っていると語った。
「私たちは負け犬だったかもしれないが、その仕事は素晴らしく、意義のあるものでした。このチームほど優秀で、面白く、才能に溢れたメンバーと仕事ができたことを、私は誇りに思います」と、設立者はチームへの感謝の気持ちを述べた。
今後、DL Newsのメンバーはそれぞれの道を歩むことになるが、設立者は「誰かが採用を検討しているのであれば、このチーム以上のメンバーを探すことは難しいだろう」と、その実力を強くアピールした。