最高裁、ジオフェンス令状の憲法適合性を審議

最高裁判所は10月、ジオフェンス令状を巡る注目事件「Chatrie v. アメリカ合衆国」の口頭弁論を開催した。同令状は、特定地域内のデバイス所有者の位置情報を一括取得する手法で、プライバシー侵害の是非が争点となっている。

主要争点:憲法違反の主張は退けられる可能性

弁論では、Chatrie側が主張した「ジオフェンス令状は原則として憲法違反」との主張が、裁判官から退けられる可能性が高いことが示された。特に、以下の点が注目された:

  • 令状の合憲性:裁判官は、ジオフェンス令状が憲法上許容される可能性を示唆。時間的・空間的な制限を課すことで合憲性を担保する方向性が有力。
  • Googleの多段階手続き:Sotomayor、Jackson両判事は、Googleの位置情報取得手続きが複数段階にわたる点に着目し、各段階で新たな令状が必要との見解を示唆。ただし、多数意見がどこまで踏み込むかは不透明。

検察側の主張は控えめに

政府側は、弁論終盤に検察官の主張を控えめに展開。ジオフェンス令状の合憲性が認められる見通しを察知し、勝利を確信した可能性がある。具体的には、以下の点で議論が交わされた:

  • 「検索」の定義:位置履歴が「検索」に該当するか否かは、裁判所が明確に判断しない可能性が高い。政府側は、位置履歴が「仮想的な個人ロッカー」に保管されており、ユーザーが直接管理するクラウドストレージと同様の保護が適用される可能性を主張。
  • Smith v. Maryland判例の適用:同判例は、自宅内の存在を明らかにする自発的な情報開示は「検索」に該当しないと規定。政府側は、この判例を根拠に、ジオフェンス令状の合憲性を主張。

実務への影響:他のオンライン記録にも波及か

今後の判決は、ジオフェンス令状に限らず、IPログイン履歴やその他のオンライン記録にも影響を及ぼす可能性がある。下級審では、これらの記録が令状なしで取得可能とされてきたが、最高裁が「検索」の定義を拡大すれば、捜査手法全体に大きな変化が生じる。

専門家は、最高裁が「検索」の定義に踏み込む可能性は低いとみている。その場合、実務上の影響は限定的となる見通しだ。

今後の展望

判決は来年初めに下される見通し。憲法適合性が認められれば、ジオフェンス令状の運用が拡大する可能性がある一方、プライバシー保護の観点から新たな規制が求められる動きも予想される。

出典: Reason