科学者候補が過去最多の米中間選挙

米国の中間選挙において、科学者出身の候補者が過去最多を記録した。学術誌『ネイチャー』の報道によると、州議会や連邦議会への立候補者数が急増している。候補者は複数の政党に分かれるが、民主党系が多いとされる。

民主党系団体「314 Action」が支援拡大

科学者出身の民主党候補を支援する団体「314 Action」は、今年の選挙で通常の3倍近い応募があったと明らかにした。同団体は資金援助やトレーニングを提供し、科学的知見を政治に反映させる取り組みを強化している。

科学政策の後退が背景に

科学者候補の増加は、連邦政府による科学プログラムや研究助成金の削減、環境規制の緩和など、科学政策の後退を背景としている。特に、大気研究センターの分割計画や「エンドガーダメント規則」の廃止などが、科学の重要性を再認識させる要因となった。

一方で、共和党系の候補者の中には、エネルギー自給の推進を掲げる者もいる。また、第三党や地方選挙への立候補も増加しており、科学者の政治参加が多様化している。

過去の選挙でも増加傾向

科学者の政治参加は、2024年の選挙でも顕著だった。地球科学誌『Eos』によると、200人以上のSTEM専門家が立候補した。火山学者で科学活動家のジェス・フェニックス氏は、「科学がより良い生活を実現し、政策決定に不可欠である」と指摘していた。

科学への信頼回復が課題

米国では、COVID-19パンデミック以降、科学への信頼が低下したが、2023年以降は若干回復傾向にある。ピュー研究所の最新調査(2025年1月発表)によると、77%の米国成人が科学者に「大いに」または「ある程度」の信頼を寄せている。

しかし、トランプ政権発足後、1万人以上の博士号取得者が連邦政府を離職したとの報告もあり、科学界の人材流出が懸念されている。

科学者議員の具体例

プリンストン大学の神経科学者で、選挙区の不公平是正プロジェクトを率いるサム・ワン氏は、ニュージャージー州第12選挙区から立候補している。ワン氏は、『デイリー・プリンストン』紙への寄稿で、「科学者は専門分野に閉じこもりがちだが、社会の不平等な権力構造を変えるために行動すべきだ」と述べた。

科学者の政治参加がもたらす変化

科学者の立候補は、政策決定における科学的根拠の重要性を再認識させるきっかけとなっている。2025年3月には、科学政策の誤用や研究機関への資金・人員削減に抗議する「Stand Up for Science」集会が全米で開催され、数千人が参加した。

専門知識を持つ科学者が政治の場に進出することで、科学的合理性に基づく政策立案が進むことが期待されている。