米国の航空業界に新たな波が押し寄せている。運輸長官ショーン・ダフィー氏は、航空管制業務の負担軽減を目的に、人工知能(AI)を活用したシステム「SMART(Strategic Management of Airspace Routing Trajectories)」の導入を発表した。この計画は、米国の空の安全性と効率性を根本から見直す大規模プロジェクトの一環だ。

ダフィー氏は先週開催されたSemafor主催のイベントで、SMARTシステムが3社の民間企業によって開発されていることを明らかにした。その後、関係者の話としてBloombergが報じたところによると、連邦航空局(FAA)は、パランティア、タレスSA、エアスペースインテリジェンスの3社にSMARTシステムの契約を競わせているという。

このうちパランティアは投資家向け声明で、FAAから「航空安全の近代化目標を支援するデータ分析ツール」の提供を受注したことを正式に発表。同社は「SMARTシステムは、フライトスケジュールを45日先まで予測し、数分から10分程度の調整で遅延を防ぐ」と説明している。

ダフィー氏はCBS Newsのインタビューで、SMARTシステムの総コストが12兆円に上ることを明らかにした。同氏は「45日先のフライトを分析し、数分や10分単位でスケジュールを調整することで、遅延を解消できる」と述べた。ただし、ダフィー氏は「AIが航空管制の意思決定を完全に担うことはない」と強調した。

AI導入に対する懸念の声

しかし、専門家の間では、AI導入に対する懸念が広がっている。AIシステムは、人員配置計画や交通安全予測、さらには自動販売機の運用など、単純な管理業務でさえも失敗を繰り返してきた実績がある。例えば、オフィスの自動販売機を正常に運用できないAIが、国全体のフライトスケジュールを管理できるのかという疑問が呈されている。

FAAの現状についても、新たな課題が浮上している。例えば、テキサス州エルパソ空港が今朝突然閉鎖された原因は、軍のレーザー兵器によるミサイル迎撃だったという報告もある。こうした予期せぬ事態に対して、AIがどれだけ柔軟に対応できるのかも不透明だ。

「AIがオフィスの自動販売機すら正常に動かせない現状で、国のフライトスケジュールを任せるのは無謀だ」
— 匿名の専門家

今後の展望と課題

SMARTシステムの導入は、米国の航空業界にとって大きな転換点となる可能性がある。しかし、AIの信頼性や実用性、そして安全性に関する懸念は払拭できていない。FAAや関係機関は、システムのテストと検証を徹底的に行い、航空の安全性を確保する責任を負っている。

今後、SMARTシステムがどのように運用され、どのような成果を上げるのか注目が集まる。一方で、AI導入に伴うリスクと課題についても、議論が続けられるだろう。

出典: Futurism