英国政府は、次世代の決済手段としてステーブルコインとトークン化技術を重点的に推進する方針を打ち出した。英国財務省は11月12日、フィンテック分野の競争力強化を目指す包括的な規制改革を発表した。

新たな規制枠組みでは、従来の決済サービスとトークン化された決済を一元的にカバーする単一の規制体系を構築する。また、AIエージェントが消費者や企業に代わって決済を行う場合の規制適応についても検討を進める。英国の金融行動監視機構(FCA)は、暗号資産全般の規制枠組みを策定しており、2027年10月から施行される予定だ。

英国のフィンテック戦略とリーダーシップ

ルーシー・リグビー経済担当財務省政務次官は、「フィンテックは英国の成功ストーリーであり、業界の競争力を維持し、成長を加速させるための支援を行う」と述べた。

また、英国政府は、デジタル資産市場の競争力向上を目指し、クリス・ウーラードCBE氏を「ホールセールデジタル市場チャンピオン」に任命した。ウーラード氏は、英国のホールセール金融市場のトークン化を推進し、より効率的で競争力のある金融セクターの構築を担う。

ウーラード氏は現在、EY(アーンスト・アンド・ヤング)のパートナーを務めており、過去にはFCAの理事兼暫定CEO、英国銀行(BoE)の規制当局者としても活躍した経歴を持つ。

ステーブルコイン市場の現状と課題

英国政府は、ステーブルコイン発行企業の「管理負担の軽減」を目指す法案を早期に提出する方針を示した。これにより、英国を「デジタル資産の世界的な拠点」として確立するとともに、安全性を維持する狙いだ。しかし、具体的な詳細は明らかにされていない。

現在、ステーブルコインの大半は米国企業によって発行されており、米ドル-backedのトークンが圧倒的なシェアを占めている。英ポンド-backedのステーブルコインは、DeFiLlamaのデータによると、わずか3000万ドル相当の市場規模にとどまる。最大手のステーブルコイン発行企業であるテザー(Tether)は英ポンド-backedのトークンを発売したが、普及には至っていない。

英国銀行は、こうした資産に関する国際的な基準の策定を求めている。

米国・EUに追随する英国

米国では、暗号資産規制を巡る議論が加速しており、5月にも「Clarity Act(明確化法)」の採決が予定されている。同法案は、ほとんどのトークンを「有価証券」または「デジタル商品」に分類する内容となっている。

一方、EUは既に「MiCA(暗号資産市場規制)」を導入しており、アナリストらはこの規制がトークンの普及を後押しすると分析している。英国政府はこうした動きに追随し、ウーラード氏の任命を通じて「次なるデジタル・ビッグバン」を実現するとしている。

出典: DL News