米国の製薬業界におけるロビー活動が2025年に大幅に増加し、注目を集めている。トランプ政権が打ち出した新薬価政策「トランプRx」の策定過程で、主要17社が1億3,000万ドル(約130億円)以上を連邦政府へのロビー活動に投じたことが、非営利団体「オープンシークレッツ」の分析で明らかになった。
この17社は、医薬品・健康製品業界全体のロビー費用4億5,730万ドル(約4,500億円)の約4分の1を占める規模で、2025年のロビー費用は前年比23%増と、業界全体の伸び率(5.7%)を大幅に上回った。特に政策策定前の2025年には、ロビー活動が最も活発化していたとされる。
2026年1~3月期の暫定データでも、業界全体のロビー費用は1億3,100万ドル(約131億円)に達し、前年同期比で5.7%増を記録。政策実施後の影響も含め、今後さらなる動向が注目される。
イーライリリー、インドで肥満啓発キャンペーンを中止
一方、米イーライリリーは、インドで展開していた肥満啓発キャンペーン「We Know Now」を規制当局の警告を受け中止した。同キャンペーンは2025年半ばに開始され、糖尿病・肥満治療薬「マウンジャロ」のインド市場導入直後であった。
キャンペーンは、肥満を個人の失敗ではなく慢性疾患として捉え直すメッセージを中心に、新聞広告、ソーシャルメディア、看板広告、ボリウッドセレブリティとのコラボレーション、一部住宅地へのポスター掲示など多岐にわたる手法で展開された。マウンジャロの名称自体は明記されなかったが、イーライリリーのロゴが表示されていた。
しかし、インドの規制当局である医薬品管理総局(DCGI)が3月に出した advisory(勧告)を受け、イーライリリーは4月10日付の16ページにわたる書簡で、キャンペーンを「規制上の慎重さから」中止すると発表した。同社は「規制当局の指針に完全に準拠するため」としている。
規制当局の厳格化が業界に与える影響
インド市場における製薬企業のマーケティング活動は、処方薬の広告規制が厳格なことで知られる。特に、慢性疾患治療薬の啓発キャンペーンであっても、間接的に処方薬を宣伝する可能性があるとみなされれば、規制当局からの警告を受けるリスクが高まる。今回のケースは、こうした規制環境の厳しさを改めて浮き彫りにした形だ。
業界関係者は、今後も各国の規制当局との緊密な連携が不可欠であり、特に新興市場におけるマーケティング戦略の見直しが求められるだろうと指摘している。