米国で、ロバート・F・ケネディ・ジュニア保健長官(HHS)による小児ワクチン政策の変更を巡り、連邦判事がこれを違法とし、差し止める判決を下しました。
3月16日、米テキサス州連邦地方裁判所のブライアン・マーフィー判事は、HHSが今年初めに発表した小児ワクチンスケジュールの変更について、科学的手続きを無視した違法な行為と認定。同政策の撤回を命じました。
ワクチン接種対象疾病を16から11に削減
HHSの新ガイドラインは、従来の16種類の疾病に対するワクチン接種を11種類に削減する内容でしたが、判事はこれを「科学的根拠に基づく手続きを無視した」と指摘。さらに、ロタウイルス、インフルエンザ、A型肝炎などのワクチン接種勧奨も引き下げました。
判決文の中でマーフィー判事は、「従来のワクチン勧奨は科学的手法に基づき、法的手続きを経て確立されたものだ」と述べ、HHS当局がこれを無視したことは「行動の信頼性を損なう」と強調しました。
ACIP委員の任命も無効に
判事はさらに、ケネディ長官がACIP(予防接種実施諮問委員会)に任命した13人の委員についても、連邦諮問委員会法に違反するとの判断を示し、その任命を無効としました。原告側は、委員会がケネディ長官の反ワクチン主義に偏ったメンバーで構成され、公平性が欠如していると主張していました。
判決後、ACIPは今週予定されていた会議を延期。同委員会はCOVID-19ワクチンに関する勧奨見直しを議論する予定でしたが、中断されました。また判事は、昨年6月以降にACIPメンバーが行った全ての投票についても一時差し止めとしました。これには昨年12月に行われた、新生児へのB型肝炎ワクチン初回接種(出生後24時間以内)の勧奨見直しも含まれます。
医療団体が判決を歓迎
この政策変更を巡る訴訟は、米国小児科学会(AAP)をはじめとする医療団体によって提起されました。AAPのアンドリュー・ラシン会長は声明で、「本日の判決は子ども、地域社会、小児科医にとって歴史的かつ歓迎すべき成果だ」と述べ、科学に基づくワクチン政策の重要性を強調しました。
医療専門家らは、判決を「科学的根拠に基づくワクチン政策の回復に向けた重要な一歩」と評価。その一方で、ケネディ長官の政策がワクチン接種の専門家ではない人物によって策定された点を指摘し、判決の正当性を支持しました。
トランプ政権は今後、この判決に対して控訴する方針です。