ワシントンD.C.の公共ゴルフ場「イーストポトマックゴルフリンクス」をめぐり、トランプ政権が接収と破壊を画策しているとの申し立てに対し、連邦判事がその動きを差し止める判断を下した。米国連邦地方裁判所のアナ・レイエス判事は10月21日、D.C.保存連盟からの緊急申請を受け、政権側の弁護士に対し厳しい見解を示した。
公聴会では、政権側が「枯れた樹木の伐採に過ぎない」と主張したが、レイエス判事は「ブルドーザーで樹木を伐採するなど、誰も私に相談せずに進めることはできない」と述べ、10本以上の樹木伐採を行う場合は事前に計画を提出し、裁判所の承認を得る必要があると指摘した。
D.C.保存連盟は、トランプ大統領が過去にケネディセンターを短期間で接収した事例を踏まえ、ゴルフ場も同様の手法で破壊されるのではないかと懸念。同連盟の弁護士は「政権を信用できない」と述べ、レイエス判事が政権側の弁護士にゴルフ場の閉鎖計画の有無を尋ねた際には「現時点では閉鎖の通知は出ていないが、検討中だ」との回答に対し、弁護士が「ノーとは聞こえなかった」と反論した。
政権側は「ルールを遵守する」と主張したが、レイエス判事に対し「ゴルフ場内に閉鎖を示す看板が掲示されていた」との指摘がなされ、政権側の弁護士はこれに反論できなかった。判事は「政権がゴルフ場に対し『突然の』動きを取る可能性がある」と懸念を示した。
先週、NOTUSが報じたところによると、政権はゴルフ場の接収後、ランドスケープや樹木伐採を開始し、その後大規模な改修工事に着手する計画だった。ゴルフコース設計士のトム・ファツィオが既に起用されていたとの情報もあるが、政権側はこれを否定。しかし、D.C.保存連盟は緊急動議を提出し、工事の差し止めを求めた。
同連盟が政権を信用できない理由は明確だ。トランプ大統領はかつて、大規模な改修を行わないと発言していたにもかかわらず、ホワイトハウス東棟を法的承認なしに取り壊し、ボールルームを建設した経緯がある。また、ワシントンの複数の建物や政府機関に自身の名前を冠するなど、議会や法的承認を得ずに強引な改変を繰り返してきた。
レイエス判事の今回の判断により、ゴルフ場の接収計画は一時的に頓挫したが、トランプ大統領がワシントンの都市景観を自身のイメージで再構築しようとする動きを完全に阻止するには至らないとの見方もある。