関税政策が招く保険料の高騰
米国では、関税政策が住宅保険料の上昇に拍車をかけています。2024年4月から導入された10%の包括関税や、自動車部品・建材に対する25%の追加関税により、輸入品の価格が上昇。これにより、保険会社の修理・再建コストが増加し、最終的に保険料の値上げにつながっています。
年間平均10万ドル超の負担増を試算
保険比較サイト「Insurify」によると、関税の影響で平均的な家庭の住宅保険料は年間で10万ドル(約1万5,000円)増加すると試算されています。保険会社「Wawanesa General Insurance Company」は、関税が自動車部品や建材のコスト上昇を通じて保険金支払い額を押し上げ、結果的に保険料の引き上げにつながると指摘しています。
関税が与える経済的影響
全米住宅建設業協会(NAHB)の推計によれば、関税の影響で2025年に建てられた住宅1棟当たりのコストは1万ドル(約150万円)増加しています。また、米国は住宅建設に必要な建材の約7%を輸入に依存しており、その総額は140億ドルに上ります。
関税政策の経緯と現在
2024年2月、米連邦最高裁は当時のトランプ政権が緊急法を悪用して導入した関税を違憲と判断し、撤回を命じました。しかし、その間に米国企業は1,000億ドル以上の不当な関税を支払っており、その還付がようやく進められています。その後、トランプ前大統領は新たな法的根拠を用いて10%の包括関税を再導入。その結果、フレーミング用木材の価格は前月比で4.3%、前年比で2.0%上昇しています。
関税以外の要因も重なり保険料上昇
関税は住宅保険料上昇の一因に過ぎません。2021年のパンデミック回復期には木材価格が高騰しましたが、2023年までには一時的に落ち着きました。一方で、ハリケーンや洪水、干ばつ、山火事などの自然災害が頻発・激甚化しており、保険金支払い額の増加に拍車をかけています。
保険会社「Travelers」は、こうした自然災害の増加が保険料上昇の主な要因の一つであると分析しています。しかし、建材への関税導入は、家計負担をさらに悪化させるだけだと専門家は指摘します。
今後の見通しと政策的対応
民主党の上院議員ジャック・ローゼン(ネバダ州)とクリス・クーンズ(デラウェア州)は、建材を関税の対象外とする法案を提出しましたが、現在のところ委員会段階で停滞しています。専門家らは、関税政策が家計や住宅市場に与える悪影響を最小限に抑えるための迅速な対応を求めています。
「関税は建設コストを押し上げ、住宅の価格を上昇させるだけでなく、保険料の負担も増加させる。これは米国の住宅市場と家計にとって重大なリスクだ」
— 全米住宅建設業協会(NAHB)