1959年式のダッジ車は、その過剰なまでのデザインと独特の存在感で愛されてきた。中でもワゴンモデルは、当時のフォードやシボレーに比べて販売台数が少なく、さらに希少性が高い。ダッジは当時、マーキュリーに近い高級ブランドとして位置づけられていたが、その中でもカスタムシエラは最上級モデルのワゴンとして注目を集めた。

1959年式ダッジ車の生産台数は15万1,851台に対し、ワゴンモデルはわずか2万3,500台。さらにその中でも9人乗りのカスタムシエラは、たった3,437台しか製造されなかった。当時のワゴンは家族の移動や荷物の運搬に使用され、また第一世代の運転手に譲渡されることが多かったため、多くが早期に廃車された。その結果、現在まで残存する個体は極めて少ない。

2024年9月8日、米国アイオワ州で開催されたデモイン・コンクール・デレガンスで、そんな幻の1台が出展された。その車両こそが、1959年式ダッジ・カスタムシエラ9人乗りロングルーフワゴンだ。

カスタムシエラのスペックと特徴

当時のカタログ価格は3,389ドル、車両重量は4,020ポンド(約1,823kg)と、非常に重厚なボディを持っていた。エンジンは、ワゴンモデルの標準仕様が295馬力のラムファイアV8、カスタムシエラでは305馬力のスーパーラムファイアV8が搭載されていた。当時のダッジワゴンとしては最上級の装備を誇り、デュアルエアコンやレベルフライト・トーション・エア(自動車高調整機能)、パワー式リアウインドウなどがオプションで用意されていた。

特に注目すべきは、当時流行したエアサスペンションのオプションだ。しかし、1950年代後半のエアサスペンションは信頼性に乏しく、1959年式ダッジ全体のわずか0.7%にしか搭載されなかった。そのため、現存する個体はさらに希少価値が高い。

1959年式ダッジのデザインと時代背景

1959年式ダッジは、1957年モデルをベースにさらに装飾を強化したモデルだ。特に特徴的なのが、4灯ヘッドライトと巨大なグリル。当時の広告文句には「優雅な生活が道路へと降り立つ…1959年式ダッジ・カスタムシエラ・ステーションワゴン」と謳われ、贅沢で快適なドライブ体験を提供する車として売り込まれていた。

当時のダッジは、フォードやシボレーといった大衆車メーカーとは一線を画す存在だった。カスタムシエラは、その中でも最上級のワゴンとして、家族連れや贅沢志向の顧客にアピールしていたのだ。

「1959年式ダッジ・カスタムシエラは、当時のアメリカの自動車文化を象徴する存在。その過剰なまでのデザインと、限られた台数だからこそ生まれる希少性が、今なおコレクターの心を掴み続けている。」
— トーマス・クローカウ(自動車評論家)

現在、1959年式ダッジ・カスタムシエラは、その希少性と歴史的価値から、オークションやコレクションで高値で取引されることが多い。特に、状態の良い個体は数万ドル以上の価値がつくことも珍しくない。自動車愛好家にとって、所有すること自体がステータスとなっているのだ。

出典: Hagerty