1992年4月22日、アメリカ合衆国の最高裁判所で、中絶に関する歴史的な審理「プランド・ペアレントフッド対ケーシー事件(Planned Parenthood v. Casey)」が行われた。

この事件は、ペンシルベニア州の法律が中絶に関して課していた規制の合憲性を巡るもので、特に「配偶者同意条項」や「24時間の待機期間」などが争点となった。最高裁は最終的に、中絶の基本的権利を認めつつも、州に一定の規制を認める判断を下した。

事件の背景と争点

  • 原告側(プランド・ペアレントフッド):中絶の権利を制限する州法は、憲法で保障されたプライバシー権の侵害にあたると主張。
  • 被告側(ペンシルベニア州):中絶に関する規制は、母体の健康や胎児の保護を目的とした合理的な措置であると反論。
  • 主な争点
    • 配偶者同意条項の合憲性
    • 24時間の待機期間の必要性
    • 未成年の中絶に対する親の同意要件

最高裁判決の意義

最高裁は1992年6月29日に判決を言い渡し、中核的な判断として以下を示した。

  • 中絶の基本的権利の維持:「ロー対ウェイド判決(1973年)」を事実上堅持し、中絶は憲法上の権利であると再確認。
  • 州の規制権限の拡大:州は中絶に関して「不当な負担」を課さない範囲で、規制を行うことが可能と判断。
  • 「不当な負担」基準の導入:今後の中絶規制法の合憲性を判断する際の重要な基準となった。

「中絶の基本的権利は憲法で保障されるが、州は合理的な規制を行うことで、母体の健康や生命の保護を図ることができる」
— 最高裁判決(1992年6月29日)

その後の影響

この判決は、中絶を巡る米国の司法と政治の議論に大きな影響を与えた。特に、州レベルでの中絶規制強化の動きに対して、合憲性の判断基準を示した点で重要視されている。また、2022年の「ドブス対ジャクソン女性健康機構事件」判決により「ロー対ウェイド」が覆された現在でも、この判決の法理は議論の土台となっている。

出典: Reason