2026年FIFAワールドカップ開催まで残り30日を切った中、米国移民税関執行局(ICE)の警備参加をめぐり、新たな波紋が広がっている。当初は「治安維持のみを目的とする」と発表されていたが、ロサンゼルス大会の組織委員会でさえ、その保証すらできない状況に追い込まれている。

ICEのトッド・ライアンス長官は今年初め、ワールドカップにおけるICE職員の参加は「安全確保のため」であり、執行活動は行わないと表明していた。しかし、大会組織委員会のキャスリン・シュロスマン委員長は、その保証について「最終的な決定権は私にはない」と述べ、不確実性を認めざるを得なかった。

FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長はICEの参加見直しを要請したが、大会運営側は具体的な対応に踏み切れていない。さらに、飲食業従事者らによるストライキの動きもあり、彼らはICEの強制執行の対象となりやすい立場にある。こうした状況は、開催国の米国や各都市、国際ファン、そして裏方で働く移民労働者にとって、大きな不安要因となっている。

ICE参加の是非をめぐる議論

ICEの警備参加は、大会の安全性を高める一方で、移民への強制執行という懸念を招いている。シュロスマン委員長は「私たちはICEと緊密に連携し、治安維持に専念してもらうよう取り組んでいる」と述べるが、その一方で「最終的な決定は私たちには委ねられていない」と、実質的なコントロールが及ばない現状を明かした。

米国サッカー連盟(USSF)やFIFAも、移民労働者の保護を求める声に応える形で、ICEの参加見直しを求めている。しかし、大会組織委員会の発言からは、その実現に向けた具体的な動きが見られないのが現状だ。

移民労働者への影響

ワールドカップの裏方で働く多くの移民労働者にとって、ICEの強制執行は切実な脅威となる。飲食業や警備、清掃などの分野で働く彼らは、しばしば不法滞在のリスクにさらされており、強制執行の対象となりやすい。大会期間中にこうした事態が発生すれば、開催地の運営に支障をきたすだけでなく、国際的な非難を招く可能性もある。

米国では近年、移民政策の厳格化が進んでおり、ICEによる強制執行件数は増加傾向にある。ワールドカップという世界的なイベントでこうした動きが表面化すれば、米国のイメージダウンにつながりかねない。

「ICEの参加は、大会の安全性を高める一方で、移民労働者の不安を増大させる。開催国として、彼らの権利を守る責任がある」
——FIFA関係者

今後の展望

大会組織委員会は、ICEとの協議を進めるとしているが、具体的な方針は未だ明らかになっていない。一方、FIFAや各国サッカー連盟からは、移民労働者の保護を求める声が相次いでいる。今後、ICEの参加範囲や強制執行の有無について、さらなる議論が必要となるだろう。

ワールドカップは世界中のファンにとって楽しみなイベントだが、開催国の政策がその雰囲気を損なうことがあってはならない。移民労働者の権利保護と大会の安全確保の両立が、今後の最大の課題となる。