米国国土安全保障省(DHS)は5月28日、移民・関税執行局(ICE)の次期長官に、民間刑務所大手GEOグループの元幹部デビッド・ベンチュレラ氏を起用すると発表した。ベンチュレラ氏は6月1日付で現職の暫定長官トッド・ライアンス氏の後任として着任し、ドナルド・トランプ前大統領の大量送還政策を主導するとともに、拡大する移民拘束施設の管理を担うことになる。

ICEは2017年以降、上院の承認を得ない暫定長官が相次いでおり、今回の人事も同様の形で進められる見通しだ。

GEOグループは米国最大の民間刑務所運営企業であり、ICEは同社にとって最大の顧客となっている。GEOグループのジョージ・ゾリーCEOは5月6日の決算発表で、「昨年は過去最高の新規契約を獲得した年であり、2026年も非常に活発な年になると見込んでいる」と述べた。同社は2025年に獲得した新規契約を2026年に本格化させる計画で、特にICEとの契約が業績拡大の原動力となっている。

ゾリーCEOによると、ICEとの契約によりGEOグループは「年間最大約5億2,000万ドルの新規収益」を獲得。さらに、現在空いている6,000床の高セキュリティ拘束施設を埋めることができれば、「年間3億ドル以上の収益増加」が見込めるという。

GEOグループとトランプ政権の密接な関係

トランプ政権はこれまで、GEOグループ出身者を多く登用してきた。例えば、元ICE長官で「国境管理長官」を務めたトム・ホーマン氏はGEOグループと長年の関係を持ち、元司法長官のパム・ボンディ氏も同社のロビイストとして活動していた。また、逆にICEの元幹部がGEOグループに転職するケースも相次いでおり、過去10年間で少なくとも6人の元ICE職員が同社に移籍していたことがワシントン・ポストの調査で明らかになっている。

「ベンチュレラ氏の経歴は、まさに官民癒着の典型例です。ICEの高官からGEOグループへ、そして再びICEへと渡り歩いてきた人物が、今回の人事で再登板するのですから。トム・ホーマン氏と同様、ベンチュレラ氏のICEに対する深い知識が、今後数カ月でさらなる拘束施設の開設ラッシュにつながる可能性が高い。政権は法の埒外で、かつてない規模の資金を投入して運営を続けるでしょう」

シルキー・シャー(非営利団体「デテインション・ウォッチ・ネットワーク」代表)

ベンチュレラ氏の起用は、GEOグループにとってさらなる収益拡大の好機となるだけでなく、米国の移民政策と民間刑務所ビジネスの癒着構造を象徴する人事として注目を集めている。