米国法曹協会(ABA)が法科大学院に対するDEI(多様性・公平性・包摂性)義務付けの見直しを進める中、同協会のトップが「異文化理解」基準をDEI批判によって満たすことが可能だとの見解を示した。

先週、ウォールストリート・ジャーナルがABAのDEI義務付けに関する社説を発表した。これを受け、ABAは法科大学院の認証基準である「Standard 206」を事実上廃止した。同基準は法科大学院に対し「多様性と包摂性へのコミットメント」を示すことを求めていたが、2025年2月に停止された。

しかし、ABAは同時に「Standard 303(c)」と呼ばれる別の基準を維持していた。同基準は、法科大学院に対し「偏見、異文化理解、人種差別に関する教育を学生に提供すること」を義務付けている。具体的には、学生が卒業する前に2回の教育セッションを受けることが求められている。

ABA議長が示した新たな解釈

ABAの法学教育・司法試験受験部門(Section of Legal Education and Admissions to the Bar)の議長を務めるダニエル・ティース氏は、先日公開された同協会の見解の中で、Standard 303(c)の解釈について新たな提案を行った。

ティース氏は、同基準がDEIに関する具体的な内容を求めていないことを指摘。法科大学院は、異文化理解に関する教育セッションの内容を自由に決定できると説明した。例えば、DEIの義務付けがもたらす弊害や、宗教的自由の重要性についての教育を行うことも可能だと述べた。

「DEI基準を満たす方法の一つは、DEIを批判することです」とティース氏は述べている。同氏は過去に、州の「反偏見」継続教育(CLE)要件に異議を唱える講演を行った経験を挙げ、その内容が認められた事例を紹介した。

宗教系法科大学院への影響

ティース氏は、今後、宗教系の法科大学院がStandard 303(c)を満たす方法として、DEIが宗教的自由を損なう可能性についての教育を実施することも可能だと指摘した。これにより、ABAは今後の教育省との対立において、より柔軟な対応が可能になるとの見解を示した。

一方で、Standard 206の廃止が法科大学院の自主的なDEI推進に与える影響については不透明だ。多くの法科大学院が、廃止後もDEIの精神を維持する可能性があるとの見方も示されている。

ABAの今回の見解は、法科大学院の運営に新たな選択肢を提供するものだが、実際にどのような教育が行われるかは各法科大学院の判断に委ねられることになる。

出典: Reason