米国移民税関執行局(ICE)は、主要業者との間で既存の収容施設を買収する交渉を進めている。これは、地元自治体や活動家からの反対で、倉庫を大規模な収容所に改修する計画が頓挫したためだ。
国土安全保障省の方針転換
国土安全保障省(DHS)は、これまでリースしていた収容スペースを自ら所有する方針に転換。これにより、全国的な収容ネットワークの再編を目指す。今年上半期には、7万人以上の収容者を抱えるピークを迎えたが、現在はその大半をリースで賄っていた。
業者との交渉状況
主要業者のコアシビック(CoreCivic)は、投資家向け会議で「全国的なネットワークを構築し、大規模施設に収容者を集約することで、全国のニーズに対応できるようにする」と述べた。同社はICEの収容ベッドの約4分の1をリースしており、一部の「即戦力施設」を売却する交渉を進めている。
同じく主要業者のジオグループ(Geo Group)も、収益報告会でICEとの交渉を明らかにした。同社は現在、約2万5千床の収容スペースをICEに提供しており、複数の施設売却について協議中だ。ジオグループのジョージ・ゾーリー会長兼CEOは「価格と長期管理契約に合意すれば、複数の施設を売却する可能性がある」と述べた。同氏は交渉が流動的であるとしながらも、売却は今年の第2四半期または第3四半期に実現する可能性があるとしている。
反対運動と法廷闘争
ICEはこれまでに11棟の倉庫を購入したが、いずれも稼働していない。これらの計画は、共和党議員や地元活動家、法律家からの反対に直面してきた。
メリーランド州ハガースタウンでは、環境政策に関する訴訟により、倉庫の改修工事が中断された。アリゾナ州サプライズに建設予定だった数千床規模の施設も、州政府からの訴訟を受け、「工事中止命令」が発令された。また、すでに購入した倉庫の売却についても検討されているという。
関係者の発言
「現時点では倉庫プロジェクトは一時停止されており、DHSはこの取り組みをどのように進めるか検討中です。収容能力の拡大と集約を目指しています」
ジョージ・ゾーリー(ジオグループ会長兼CEO)
ジオグループによると、ICEは10の「即戦力施設」の購入を検討しており、現在ICEは全国に約200の収容施設と、提携を通じた地元刑務所のスペースを有している。
トランプ政権は、収容能力を10万人に拡大する目標を掲げていた。
今後の展望
DHSはコメント要請に対し、即時の回答をしていない。今後、ICEはリースから所有への移行を進める一方で、地元の反対や法廷闘争との調整が課題となる見通しだ。