米国証券取引委員会(SEC)が小規模投資家やアクティビスト投資家による政府系プラットフォーム「EDGAR」を通じた意見表明を制限してきたことを受け、彼らは独自の代替プラットフォーム「Proxy Open Exchange(POE)」を立ち上げ、反撃に転じた。
トランプ政権下でSECは、株式保有額が500万ドル未満の投資家による「免除勧誘文書(exempt solicitations)」のEDGAR経由送信を禁止。気候変動対策や企業統治、DEI(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン)などの重要課題に関する意見表明が困難になった。
投資家団体が主導するPOE
この動きを主導したのは、株主 advocacy 団体「As You Sow」のCEO、アンドリュー・ベハー氏だ。「自由市場にはコミュニケーションが不可欠。EDGARが奪われるなら、我々がPOEを提供する」と強調する。
POEは立ち上げから1週間足らずで63件の申請を受け付け、さらなる増加が見込まれている。対照的に、2026年のEDGAR経由申請はわずか39件にとどまる。SECはPOEについてコメントを控えているが、これまでに「政府の負担軽減と大量の申請への対応迅速化」を理由に規制強化の正当性を主張していた。
SECのスポークスパーソンは当時、「投資家はプレスリリースやメール、ウェブサイト、ソーシャルメディア、電子株主フォーラムなど他の手段で免除勧誘文書を送信できる」と述べていた。
規制強化は「投資家の声を封じる試み」との批判
規制強化に対する批判は根強い。非営利団体「Interfaith Center on Corporate Responsibility」も独自に免除勧誘文書をウェブサイトで公開しており、POEはその中でも最も包括的な代替手段と位置付けられる。POEはEDGARと同様、中央索引キー(CIK)を使用して申請者を特定し、基本的なエラーを除いて内容をフィルタリングしないため、多様な意見が反映される仕組みだ。
「POEは、あらゆる立場の人々が自身の意見を表明できる大規模な公共プラットフォームを目指す野心的な取り組み」と語るのは、同センターの上級政策顧問、ティム・スミス氏だ。「気候変動に関する決議を提出する投資家もいれば、DEIに異議を唱える保守的な投資家もいる」。
法的責任はEDGARと同等
ペンシルベニア大学のビジネス法教授、ジル・フィッシュ氏は「POEに投稿される内容もEDGARと同様、反詐欺規定の対象となる」と指摘。透明性と公平性を確保する仕組みが整備されている。
SECの規制強化が投資家の声を抑圧する試みと受け止められる一方で、POEのような自主的なプラットフォームが新たな議論の場を提供しつつある。