ホワイトハウス記者協会晩餐会(WHCD)で発生した銃撃事件は、米議会における民主党と共和党の対立を解消するどころか、むしろ深刻化させる結果となった。特に、国土安全保障省(DHS)の再開を巡る交渉は依然として停滞しており、党派間の溝は埋まっていない。

共和党の主張:DHS全面再開を要求

共和党は、WHCDの銃撃事件を受け、DHSの全面再開を強く主張している。その理由として、DHSの下部組織であるシークレットサービスが事件の対応に関わったことや、同省の職員の多くが「One Big, Beautiful Bill」と呼ばれる包括予算法によって給与が支払われていることを挙げている。

下院議長のマイク・ジョンソン(共和党・ルイジアナ州)は、上院で可決されたDHS再開法案について、「拙速に作成された問題のある内容」だと批判し、代替案を提示すると述べた。ジョンソンは、「実質的な変更はほとんどないが、両院にとってより良い修正版を用意した」と主張している。

民主党の反発:移民政策改革を譲らず

一方で民主党は、WHCDの銃撃事件を政治利用しようとする共和党の姿勢を強く非難している。アレクサンドリア・オカシオ=コルテス下院議員(民主党・ニューヨーク州)は、「暴力事件を政治的目的で利用することは残念で不幸なことだ」と述べ、党派間の対立をエスカレートさせる行為に警鐘を鳴らした。

下院少数党院内総務のハキーム・ジェファーズ議員(民主党・ニューヨーク州)は、記者会見で「ドナルド・トランプ氏と共和党は、極端な移民政策を推進するために70日以上にわたりDHSを閉鎖し続けている」と非難。上院で可決されたDHS再開法案について、「下院で審議されないまま放置されている」と述べ、早急な法案の採決を求めた。

議員間の意見対立も浮き彫りに

民主党内部でも意見の相違が見られる。グレッグ・カサール議員(民主党・テキサス州)は、「共和党の主張はまったく理解できない」と述べ、強硬な姿勢を示した。一方、スージー・リー議員(民主党・ネバダ州)は、「上院で可決されたDHS法案が下院で審議されていない」と指摘し、共和党の対応を批判した。

また、ドン・デイビス議員(民主党・ノースカロライナ州)は、DHSがトランプ氏ら政府高官の安全を確保すべきである一方で、「米国民の安全も同じように重要だ」と述べ、党派を超えた解決の必要性を訴えた。

穏健派のジャレッド・モスコウィッツ議員(民主党・フロリダ州)は、両党が歩み寄るべきだと主張。DHSからシークレットサービスや運輸保安局(TSA)などの機関を分離する法案を提案し、「DHSを再開させるために妥協が必要だ」と述べた。

「我々は合意を模索し、DHSを再開させなければならない。疑う余地はない。提案を見てみよう」
ジャレッド・モスコウィッツ議員

今後の展望:党派間の溝は埋まるのか

WHCDの銃撃事件を巡る党派間の対立は、DHS再開に向けた交渉をさらに難航させている。共和党は全面再開を主張し、民主党は移民政策改革を譲らない構図が続いている。今後、両党がどのような妥協点を見出すのか、注目が集まる。

出典: Axios