自動車の排気系は、エンジンの性能だけでなく、そのサウンドにも大きな影響を与える。ドイツの自動車メーカー「アポロ」は、フェラーリ製V12エンジンを搭載したプロジェクトEVOハイパーカーにおいて、排気系の音とデザインにこだわった。

排気系の設計は、エンジンのパフォーマンスと密接に関係する。例えば、フォードGT40で有名な「バンドル・オブ・スネークス」と呼ばれる排気系は、V8エンジンの排気脈動を均一化するために考案された。しかし、アポロのプロジェクトEVOに搭載される6.3LフェラーリV12エンジンは、クロスプレーンクランクを採用していないため、このような配慮は必要ない。それでも、エンジンルーム内のスペースは限られており、最適な排気系の設計が求められた。

そこでアポロは、チタン製の排気系を3Dプリントで製作するという革新的な手法を採用。表面には「ドラゴンスキン」と呼ばれる独自のテクスチャを施し、見た目だけでなく、熱分散性能の向上にも貢献している。

世界最大級の3Dプリント排気系

アポロによると、この3Dプリント製排気系は「単一パーツで製作された排気系としては世界最大級」だという。レーザー焼結プロセスによる製造には123時間を要し、チタン、アルミニウム、ジルコニウム、モリブデン、バナジウムを含むTA15合金が使用されている。また、排気系にはカスタマイズ可能なセラミックコーティングが施されており、耐熱性とデザイン性を両立させている。

3Dプリント技術が切り拓く新たな可能性

3Dプリント技術は、自動車業界においても徐々に実用化が進んでいる。例えば、Czinger社はシャシーやサスペンション部品に3Dプリント技術を活用しているが、排気系への応用は新たな可能性を示している。従来の排気系では、複雑な形状を実現するために、多数のパーツをTIG溶接で接合する必要があった。しかし、3Dプリント技術を用いれば、一体成形が可能となり、製造工程の簡素化とコスト削減が期待できる。

プロジェクトEVOは、限定10台という少数生産のため、高額な金型を必要とする従来の製造方法ではコストが見合わない。そのため、3Dプリント技術は、他の部品にも応用できる理想的なソリューションとなり得るのだ。

今後の展望と期待

アポロのプロジェクトEVOに搭載される3Dプリント製排気系は、その独創的なデザインと技術力で注目を集めている。実際にそのサウンドを聴く機会を待ちながら、我々は3Dプリント技術が切り拓く新たな自動車部品の可能性に思いを馳せている。

出典: Hagerty